「“罪”を暴くのが犯人当てだとしたら、“罰”まで描けるのがリーガルミステリー」──「メフィストリーダーズクラブ」薬丸岳×五十嵐律人トークイベント
五十嵐律人さん(左)と薬丸岳さん
2020年に『法廷遊戯』でメフィスト賞を受賞し、デビューを飾った五十嵐律人さん。現役弁護士でもある五十嵐さんの持ち味と言えば、法律知識を駆使した青春リーガルミステリーだ。5作目にあたる『幻告』(講談社)では、得意のリーガルミステリーに「タイムスリップ」を掛け合わせ、新たな境地を切り開いている。
そんな五十嵐さんと、社会派ミステリーの旗手であり、今年リーガルミステリー『刑事弁護人』(講談社)を上梓した薬丸岳さんの対談が実現。書評家・大矢博子さんを司会に迎え、会員制読書クラブ「メフィストリーダーズクラブ」の会員限定で配信されたトークライブの模様をレポートする。
(文=野本由起)
「タイムスリップによる事態の変化を、裁判に集約させているのが面白い」(薬丸)
法学部生のころから、『Aではない君と』など薬丸さんの著作を愛読していたという五十嵐さん。今回の対談も、五十嵐さんのリクエストによって実現したという。
最初の話題は、五十嵐さんの新刊『幻告』について。この小説は、裁判所書記官の主人公が、過去にタイムスリップして父親の冤…