お笑いが標準語主義を変えた? たけしやさんまの「ことば」の影響力
『お笑い芸人の言語学: テレビから読み解く「ことば」の空間』(吉村誠/ナカニシヤ出版)
「標準語」としてドラマや映画、あるいはアニメで話されている言語に違和感を持ったことはないだろうか。どこかよそよそしく聞こえる「標準語のようなもの」は、日本人の日常との距離が感じられてならない。そう、多くのメディアで「標準語」とされてきた言葉には生活感がないのである。
こうした背景には書き言葉を偏重してきた国語教育の弊害があるのではないか。明石家さんまら多くのお笑い芸人と交流があり、「M-1グランプリ」創設時のプロデューサーも務めた吉村誠氏は著書『お笑い芸人の言語学: テレビから読み解く「ことば」の空間』(ナカニシヤ出版)の中で、日本人の言語空間を見つめ直す。自身がかつて深く関わってきたテレビ界から分かる「ことば」の移り変わりは、「標準語」優位の国語教育に一石を投じるだろう。
インターネットが普及し、情報源として一般化された現代ではあるが、それでもなおメディアの王様は、吉村氏が主張するようにテレビと言っていいだろう。そして、テレビで使われてきた「ことば」には日本人…