福地桃子さんが選んだ1冊は?「偶然手にした一冊が私の心を満たす──そんな運命的な出会いを楽しんでます」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、福地桃子さん。 (取材・文=倉田モトキ 写真=TOWA)
「小学生の頃、学校の図書室で『あさ』と『ゆう』という写真集を読んでいたんです。予約が入っていなければ毎週のように借りていました。写真と一緒に短い言葉が添えられていたのですが、それが谷川俊太郎さんの詩だったということを大人になって知りました。谷川さんの本はエッセイなども読んでいたので、小さい頃と今の自分がつながっていたことに不思議さと喜びを感じましたね」 今回福地さんがおすすめしてくれたのは谷川俊太郎の『どきん』。古本屋で表紙に惹かれて手にしたそう。 「なかでも、『春に』という詩が大好きで。一節の中に書かれているように、文章そのものがエネルギーに満ちているんです。普段、お散歩をしていて生命力を感じる植物を見かけると写真に撮りたくなるのですが、それに似た感覚で、ページを開くたびにいろんなエネルギーをもらえる。でも、どこか心が落ち着くのは、きっと和田誠さ…