人気作家が告白した「オトコの不妊治療」
窪塚洋介主演でナショナリズムに傾倒する若者たちを活写した『凶気の桜』などの原作者として知られる小説家・ヒキタクニオ。彼が上梓した『「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」男45歳・不妊治療はじめました』(光文社)が、いま注目を集めている。約5年にも及ぶ不妊治療の一部始終を、男性からの視点で綴った新書だ。
ハードボイルドな作品も多く、自身も「社会性という言葉と相反する生活、いや、人生を歩んで来たんですね」と書いているように、無頼なイメージが強いヒキタ。彼が、10歳年下の妻と子づくりを決心したのは45歳のこと。最初は「タイミング法」という、排卵日に合わせて子どもづくりにいそしむ行動からスタート。この方法での妊娠確率は80%というが、1年を過ぎても妊娠には至らず。そこで、不妊の検査を行ったところ、彼の精子の運動率が20%だったことが判明。ここから、本格的な不妊治療がはじまったそうだ。
まず、本書の特筆すべき点は、男性がオープンに不妊について語ることの新しさだろう。不妊治療は、どうしても女性の話題となりがち。男性がその治療内容についてつぶさに書くことはもちろん…