犬の寿命の短さに対抗するには? 犬好きの誰もが爆泣きした1首の短歌から絵本ができるまで。『きみと風』インタビュー
『きみと風』(夏生さえり:作、くまおり純:絵、木下龍也:短歌/岩崎書店)
2017年から短歌の個人販売「あなたのための短歌1首」を続けている歌人・木下龍也さん。その活動を知った脚本家・エッセイストの夏生さえりさんが、木下さんに短歌を依頼したのは2020年のことだった。
「いま飼っている犬、かつて飼っていた犬、そして、実家の病気になっている老犬たち。私は犬をすごく愛していますが、その分、いつかやってくる別れのことを思うと、胸がつぶれそうなほどに寂しくて恐ろしくて仕方がないです。そんな私のお守りとなる短歌をください」
この依頼に対して、木下さんはこう返した。
「愛された犬は来世で風となりあなたの日々を何度も撫でる」
木下さんの短歌に心を射抜かれた夏生さんは、この1首から絵本をつくることに。それが、夏生さんが物語を紡ぎ、くまおり純さんが絵を添えた『きみと風』(岩崎書店)。たったひとりに向けた短歌は、絵本へと形を変え、動物に心を寄せる人々の間に静かな感動を広げている。その創作過程、短歌や絵本に込めた思いについて、木下さん、夏生さん、くまおりさんに話を伺った。…