作ってみたい絶品「村上春樹」レシピベスト5! パンケーキも○○をかければ村上流

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更新日:2013/8/5

数々のベストセラーを生み出し、村上春樹作品の愛読者は日本だけじゃなく世界中に広がるラコ。そんな村上作品には、かなりの頻度で「音楽」が差し込まれているのも特徴だけど、同じように「料理」も心惹かれる固有名詞が登場するのを知ってるラコか?
 そこで、今回ダ・ヴィンチ電子ナビでは、『厳選村上レシピ』の著者で、「台所でよむ村上春樹の会」代表の岡本雨さんに、思わず作ってみたくなる「村上レシピ」ベスト5を紹介してもらったラコ。

岡本雨/おかもと・あめ
1964年東京生まれ。湘南逗子在住。作家、アマヤドリブックス店主。近著に『厳選村上レシピ』(青春文庫)。食べるグルメではなく、作る行為としての料理に深い興味がある。今年1月より鎌倉の繁盛蕎麦屋で蕎麦打ちの本格修行を始める。
http://www.amayadoribooks.com/

1位
小林書店の台所でワタナベに作る小林緑のおばんざい
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
  • 著者名:村上春樹
  • 発売元 : 講談社
  • 価格:555円

『ノルウェイの森』で陽の象徴である小林緑と、どっちつかずの悩める主人公ワタナベが、一線を超えるきかっけとなる食事の日です。互いに付き合う相手がいるのに、どんどん惹かれてゆく2人。それを演出したのが、小林緑の京都のおばんざい風の献立。だしまき玉子、さわらの西京漬、しめじご飯。ブラジャーを買うお金を玉子焼き器にまわした小林緑。村上春樹の作品でいちばんの料理上手な女子です。

2位
五反田君のために作る酒の肴の数々
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)
  • 著者名:村上春樹
  • 発売元 : 講談社
  • 価格:700円

『風の歌を聴け』の「僕」は30代になって一人暮らしが洗練された大人の男子に成長しています。『ダンス・ダンス・ダンス』では、手際よく沢山の料理を作っていますが、その象徴が同級生五反田君に作る酒の肴。酢の物やじゃが芋とサラミの炒め物、キュウリの即席漬け。長ネギと梅肉の和え物。日本酒に合いそうな肴ですが、ウィスキーのカティー・サークを選ぶところが村上春樹らしい。

3位
図書館の女の子の台所で作るストラスブルグ・ソーセージのトマト煮込み
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 (新潮文庫 む 5-5)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 下巻 (新潮文庫 む 5-5)
  • 著者名:村上春樹
  • 発売元 : 新潮社
  • 価格:662円

村上春樹は紀ノ国屋が好きです。書店でない方の紀ノ国屋。青山に本店を構える高級スーパーです。ここで買うレタスはよく保つとも記しています。ストラスブルグ・ソーセージは紀ノ国屋の自家製。今日で世界が終わる日の朝、トマトソースでソーセージを煮込みます。図書館の女の子のために。料理の描写がとても丁寧なシーンです。 

4位
うさぎ亭のコロッケ
村上朝日堂はいほー! (新潮文庫)
村上朝日堂はいほー! (新潮文庫)
  • 著者名:村上春樹
  • 発売元 : 新潮社
  • 価格:497円

『村上朝日堂はいほー!』は、村上春樹のエッセイ集です。エッセイでも料理についての言及は沢山ありますが、この「うさぎ亭」は村上春樹の理想とする定食屋のイメージを想像して記述したものではないかと睨んでいます。たかがコロッケ定食ですが、ここでの描写を読んでいると「コロッケ食べたい~」とよだれが出てきます。

5位
すみれがミュウとギリシャで食べた香草入り鯛のスープ
スプートニクの恋人 (講談社文庫)
スプートニクの恋人 (講談社文庫)
  • 著者名:村上春樹
  • 発売元 : 講談社
  • 価格:600円

『1Q84』を持ち出すまでもなく、村上春樹の作品では謎が解決されないままに小説が終わってしまうことがよくあります。しばし描写されるのが登場人物の失踪です。『スプートニクの恋人』では、主人公のミュウが失踪する前の晩に、同性の恋人とギリシャの小島のコテージで過ごし、一緒に作る食事が鯛のスープ。最後の晩餐としてはあっさりしていますが。

【番外】 ホット・ケーキのコカ・コーラがけ(『風の歌を聴け』)
「僕」の親友、鼠。彼の好物がホット・ケーキ。問題はそれにコカ・コーラをひと瓶かけて食べること。そんな文章を読んだら、やってみたくなりませんか。バカバカしいけど、やってみました。そしてレシピも載せています。どんな味になるかは、ぜひとも『厳選村上レシピ』をご覧になってお試し下さい。ペプシではなく、瓶のコカ・コーラがよろしいようです。

「優れた小説には、人を動かす力があります。村上春樹の初期の作品を読んでいるとやたらビールが呑みたくなります。そして作家として成長期にあった村上春樹は、自然や街を描写する代わりに、料理や性行為を丁寧に描写することでペンの腕をあげてきたように思います。『羊をめぐる冒険』から『ダンス・ダンス・ダンス』までは、思わず作ってみたくなる料理の描写がじつに豊富です。ならばその料理をレシピにしてみようと作ったのが、『村上レシピ』です。これはひとつの答えです。みなさんも、みなさんなりの「村上レシピ」を作ってみてはいかがでしょうか。小説の楽しみは読むだけではないのです」と岡本さん。

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