あまちゃんロス症候群、通称『あまロス』なあなたを癒す本ベスト5

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更新日:2018/12/27

ついに、『あまちゃん』が惜しまれながら最終回を迎えてしまったラコ。『あまちゃん』にどっぷりハマってしまい、終わってしまった今、この気持ちをどこにぶつけていいか路頭に迷っている人多いと思うラコ〜。そんなぽっかり空いた心の穴を埋めてくれるような5冊を、毎朝のTwitterあまちゃん批評が大人気だった文筆家の中川大地さんに教えてもらったラコ!

中川 大地・文筆家、編集者。ゲーム、アニメ、ドラマ等のカルチャー全般をホームに、日本思想や都市論、人類学、情報技術等を渉猟して現実と虚構を架橋する各種評論等を執筆。

1位
全156話レビューにロケ地ルポ、あま絵満載のキャラクター徹底解説etc.!
あまちゃんメモリーズ    文藝春秋×PLANETS
あまちゃんメモリーズ 文藝春秋×PLANETS
  • 著者名:みなさんのあまロスをなんとかすっぺ会
  • 発売元 : 文藝春秋
  • 価格:1,404円

「10月31日発売予定のこの本こそ、あまロス対策には打ってつけです! なにせ僕たちが“M3ALNSP(皆さんのあまロスをなんとかすっぺ)”を掲げて絶賛編集中ですので(笑)」
「宇野常寛主宰のカルチャー批評誌『PLANETS』では、ドラマが文化的に重要だと思われていなかった頃から、クドカンを2000年代最も重要なクリエイターの一人に位置づけ、朝ドラの進化にも注目し続けてきました。その時代を経ての『あまちゃん』のヒットには非常に感慨があって、執筆陣一同の積み重ねと気合がすごい。関連本は他にも多く出版されていますが、完結を受けて登場する、踏み込んだ視点からの正真正銘の完全版として、しみじみとドラマを味わい直せる一冊になっています」

2位
『あまちゃん』ファンが見出した「北の海女」の解説本
北限の海女 今昔
北限の海女 今昔
  • 著者名:北限の海女今昔編集委員会
  • 発売元 : 亜紀書房
  • 価格:1,080円

「もともとは、北限の海女とはどういうものかという民俗的観点から作られた資料のようなローカル出版社の本。それが『あまちゃん』が始まり北限の海女が注目され、現地に足を運んだとある編集者がこの本を見初めて全国発売したそうです」
「能年玲奈さんや小泉今日子さんら出演者たちがロケ地入りした際の会見やドラマに関する地元の新聞記事なども掲載されていて、フレッシュな記録にもなってます。海女の歴史を知ることで『あまちゃん』の世界が地続きになるので、これを読んでからロケ地に行くと、さらにいい旅になるでしょう」

3位
「K3RNSP(北三陸をなんとかすっぺ)」のルーツがここに
ディズニーの隣の風景: オンステージ化する日本
ディズニーの隣の風景: オンステージ化する日本
  • 著者名:円堂都司昭
  • 発売元 : 原書房
  • 価格:1,944円

「1983年、東京ディズニーランドが浦安を変えました。小泉今日子演じる天野春子が北三陸を出たのが1984年。北鉄が開通し、大吉が「これからは地方の時代が来る」と言った頃です」
「ディズニーランドは地域の歴史と関係のないコンテンツで浦安の再開発に成功したけれど、そういうテーマパーク的な方法論がのちに地域振興に応用されて、B級グルメやゆるキャラ、YOSAKOIのようなイベントを生み出していった歴史があるんですね。『あまちゃん』で描かれたご当地アイドルやまめぶ汁も、その一つ。北三陸編で描かれた現代の地域活性化の背景が、深く理解できるようになる一冊です」

4位
「東京編」の重要なファクター、スカイツリー
東京スカイツリー論 (光文社新書)
東京スカイツリー論 (光文社新書)
  • 著者名:中川大地
  • 発売元 : 光文社
  • 価格:1,026円

「自著の推薦で恐縮です(笑)。これは2000年代後半の東京がスカイツリーを中心にしてどう変わっていったかを物語った本なんですが、『あまちゃん』東京編の舞台は、まさにスカイツリーが建設され、完成するまでの東京でした」
「スカイツリーには、“ライジングイースト”、“東(東京の東側、日本の東側、世界の東側=東洋)を盛り上げよう”というコンセプトがあって、実は古田新太演じる太巻が上野を拠点にした考え方にも通じています。また、スカイツリーが東日本大震災の一週間後に634mに到達し、くしくも復興のシンボルになったことも重要なテーマなので、東京編・震災編がさらに味わい深くなると思います」

5位
あま絵でおなじみ青木俊直さんが描いた、もうひとつの「震災編」
ずんだ
ずんだ
  • 著者名:青木俊直
  • 発売元 :
  • 価格:※ストアでご確認ください

「ずんだ2011年10月に描かれた短編マンガ作品なのですが、『あまちゃん』のモチーフとのシンクロ感がすごい。レズビアンのカップルが登場人物で、東日本大震災で亡くなったおばあちゃんのレシピでずんだ餅を作るという話」
「『ずんだ』と言えばGMTの小野寺ちゃん、女の子同士の友情はアキユイを彷彿とさせる。さらに、主人公のおばあちゃんとの思い出の風景が、なんと北鉄の終着点である宮古市の浄土ヶ浜! まさに震災編のアナザーストーリーのような印象で、青木さんがあま絵に導かれたのは必然だったんじゃないかと思うくらいです」

「最大のあまロス対策は、実際に久慈や東京のロケ地に行くことでしょう。聖地巡礼はこれまでのアニメやドラマでも当たり前のファン活動になってますが、虚構と現実を非常に高いレベルでリンクさせた〈拡張現実〉ドラマだった『あまちゃん』の場合、その効用が別次元に違う。最終回は迎えてしまったけれど、現地を訪ねることで単なる追体験ではなく、画面には描かれなかった物語の源が入りこんできて増殖し、現実側を豊かにしてくれる作品だと思います。そんな経験の手助けになるような5冊を選びました。」

インタビューにも北鉄Tシャツを着てきてくださった中川さん。面白いお話ありがとラコ〜!ほかにもこんな作品が知りたい!というのがあったら @bookrako までよろしくラコ!