進撃止まらず! あの巨人マンガが2013年No.1コミックに

マンガ

更新日:2014/1/27

 年末の恒例行事、本とコミックの情報誌『ダ・ヴィンチ』が主催する本好きたちの総決算「BOOK OF THE YEAR」。ダ・ヴィンチ読者、書店員、文筆家など、本好き4619名が選ぶランキングが発表された。

 コミック部門では、『進撃の巨人』が、ついに頂点に昇りつめた。かつて見たこともない人を餌とする巨人。2009年の連載開始は、マンガファンに大いなる驚きと歓喜で迎えられた。TVアニメ化などを経てより幅広い読者を獲得し、この素晴らしい結果に至った。

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 巨人のインパクトに留まらず、ストーリーの勢いは増すばかり。調査兵団のリヴァイなど独特な登場人物の魅力。そして、なぜエレンは巨人化できるのか? 巨人という存在そのものの謎はますます深まり、私たちを惹き付ける。エレンと人類の運命はいかに? 今後の展開が絶対に見逃せない。

 一方、次期トップ候補としては、6位『暗殺教室』を挙げたい。暗殺という設定であるが故に、逆に殺せんせーの熱意あふれる教育がリアルに真っ直ぐに胸に響く。巨乳好きなど、ちょっとした弱点もツボ。感動、笑い、謎、多様な要素を内包した一級のエンタメだ。国民的キャラクターに成長しつつある殺せんせーを見守っていきたい。

 そのほかも今年は注目作が目白押しだ。男性マンガでは、『坂本ですが?』と『重版出来!』がまだ連載開始間もないにもかかわらず、9位、14位と上位を獲得。前者は“クーレスト”な高校生・坂本が繰り出す新感覚の笑いがクセになる。後者は、マンガ作りの裏方を描いた骨太な人間ドラマだ。

 『進撃の巨人』を筆頭に、今年は若手作家のフレッシュな作品の躍進が顕著だった。それはすなわち、マンガ界の芳醇な土壌、豊かな未来の可能性であり、実り多い一年であったと思う。

 同誌では50位までのランキングを発表。1位に寄せて『進撃の巨人』の著者・諫山創からのコメントを掲載するほか、惜しくもTOP10からは漏れてしまったものの大躍進の注目作についても言及。とくに、少女マンガの注目の傾向についても作品例をあげて分析している。冬休み、まとめ読みができるチャンスを前に、ぜひ全ランキングをチェックしたい。

【ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2013」コミック部門ランキング】
1位 『進撃の巨人』(1~11巻)諫山 創 講談社少年マガジンKC 各450円
2位 『銀の匙 Silver Spoon』(1~9巻)荒川 弘 小学館少年サンデーC 各440円
3位 『ONE PIECE』(1~72巻)尾田栄一郎 集英社ジャンプC 410~420円
4位 『3月のライオン』(1~9巻)羽海野チカ 白泉社ジェッツC 490~510円
5位 『ちはやふる』(1~22巻)末次由紀 講談社ビー・ラブKC 440~450円
6位 『暗殺教室』(1~6巻)松井優征 集英社ジャンプC 各420円
7位 『聖☆おにいさん』(1~9巻)中村 光 講談社モーニングKC 580~590円
8位 『名探偵コナン』(1~81巻)青山剛昌 小学館少年サンデーC 398~450円
9位 『坂本ですが?』(1~2巻)佐野菜見 エンターブレイン ビームC 各651円
10位 『宇宙兄弟』(1~22巻)小山宙哉 講談社モーニングKC 580~600円

構成・文=松井美緒/ダ・ヴィンチ1月号「ブック・オブ・ザ・イヤー2013」特集