お笑い評論家・ラリー遠田の「爆笑本BEST6」

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

本とコミックの情報誌『ダ・ヴィンチ』が主催する「BOOK OF THE YEAR」。発売中の1月号では、ダ・ヴィンチ読者、書店員、文筆家など本好き4619名によるアンケートをもとに、2013年をふりかえりあらゆるジャンルの書籍ランキングを発表。また、著名人による今年を彩ったおすすめ書籍も紹介されている。

お笑いムック『コメ旬』編集長であり、お笑い評論家であるラリー遠田が紹介するのは「爆笑本BEST6」。

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1冊目は『ナイツの言い間違いで覚える日本史』(ナイツ)。『NHK青山ワンセグ開発』(NHKEテレ)で放送された人気企画を単行本化。坂本龍馬、徳川家康、伊能忠敬、紫式部など、日本史の著名人物20人をナイツが“言い間違い漫才”で紹介している。新ネタ「言い間違いで覚える江戸時代」も収録されており、笑いながら日本史に詳しくなれる一冊だ。

「最近では珍しい純粋な漫才ネタ本。ナイツの漫才は情報量が多いので活字にしても楽しく、五月女ケイ子さんのイラストがそれをもう一段階面白くしてます。誰も知らないような漫才協会の師匠たちの小ネタもいっぱい。日本史だけじゃなく漫才協会にも詳しくなれます(笑)」

続いては、同じく芸人本から『飯尾和樹の暮しの現実逃避手帖 「あ~あ~ 幕末に生まれてりゃなぁ~」みたいな100ぐらいの言葉』(飯尾和樹)。お笑いコンビ「ずん」のボケ担当、飯尾和樹の代表作ネタ“現実逃避シリーズ”を書籍化。「あ~あ~幕末に生まれてりゃなぁ~」など91本を収録し、ページ左下には「ペッコリ45度」などギャグパラパラマンガも掲載。家で脱力して寝っ転がりながら読むのにぴったり! 「他力本願で自分に都合のいい妄想みたいなネタが延々載っているのですが、ゴロゴロしながらこんなにもポジティブになれるなんて我々も飯尾さんに見習うべきところがあるんじゃないかっていう気にさせられます。『こんな人もいるんだ』と勇気づけられる癒やし系の芸人本」とおすすめ。

3冊目は赤羽の歪んだ非日常を伝える衝撃の実話ドキュメント『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』(清野とおる)。「勢いがまったく衰えていないのがすごい。赤羽という街の特殊性を思い知らされます。あっちの世界とこっちの世界の狭間にいて身を削っている清野さんにしか描けないマンガでしょう。普通じゃない人が起こす笑いの爆発力はもちろん、ルポタージュとしても面白いです」と勧める同作は、東京・赤羽で出会ったちょっと変わった人や普通じゃない店との衝撃的なエピソードをオールカラーで描いた完全実話のドキュメントマンガ。連載媒体を『Bbmfマガジン』から『漫画アクション』に変更後の新シリーズ第1弾。赤羽で繰り広げられる非日常の物語に驚愕必至!

同誌では「爆笑」をテーマに全6冊を紹介している。

取材・文=橋富政彦/ダ・ヴィンチ1月号「ブック・オブ・ザ・イヤー2013」特集