明日から通ぶれる! ライト層読者があまり知らない『ワンピース』―キャラ編―ベスト5

なんでもランキング

更新日:2016/11/7


『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)

 国民的マンガである『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)。第1巻発売当初からファンだった読者としては、どんどん有名になるのは嬉しい限りだが、最近は「○○巻から読み始めた」「○○というキャラなら知っているよ」というライト層のファンが増えているのも事実。私個人としては、どんな形であれワンピースを楽しめたら何でもいいのだが、ライト層が現れたからこそ「ワンピース通」を誇示するようなファンが存在するのも事実であるし、職場や学校のクラスのみんなに「ワンピース豆知識」をひけらかしたいと考えるファンもなかにはいるだろう。

 そこで今回は「明日から通ぶれる! ライト層のファンがあまり知らないワンピース! キャラ編」なるランキングをぶち上げ、ライト層の底上げ計画を実施したいと思う。この記事を読めば、ワンピース通らしき人物から「ワンピースで好きなキャラは?」と聞かれても、自信をもって答えられるはずだ。今回の選出にあたって、(1)ライト層の読者がギリギリ思い出せないくらいで、(2)ワンピース通が「ほう」と感心する、(3)ドヤ顔で魅力を説明して共感してもらえるキャラ、という感じで収めている(はず)。きっとこれでライト層もあらゆるワンピース通に対抗できる! 前置きが長くなった! それではいってみよう!

1位
今を生きて成長するチャボ
ONE PIECE 8
ONE PIECE 8
  • 著者名:尾田栄一郎
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:

 アーロン編でいい味を出しているのが、チャボだ。まだ少年の彼は、アーロンに父親を殺された恨みから、ナイフを片手にアーロンパークへ乗り込もうとする。これ以上アーロンの犠牲者を見たくないナミは、少年チャボをボコボコにして追い返す。さらに、ノジコの家に保護されたチャボは泣きながら事情を話すが、ノジコに「真っ先に死ぬこと考えるような奴が大嫌いなの!」と一喝され、辛くても生きていくことを決心。アーロンがルフィに敗れた後、宴の片隅でノジコがチャボに問いかけるシーンがある。

ノジコ「もっといじけてるかと思った。何で父ちゃんが死ぬ前にこうならなかったんだよってさ」
チャボ「最初はそう思ったよ。だけどそんなこと考えるだけムダだってわかったんだ」

 アーロン戦を通して、一人の少年がいつの間にか大人になっていく。彼の着ているTシャツには「今」という文字が大きく描かれており、彼のこれからの生き方を表しているようだ。

2位
嫌われ役を買って出る男気のマッキンリー隊長
ONE PIECE 26
ONE PIECE 26
  • 著者名:尾田栄一郎
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:

 空島編の男気といえば、マッキンリー隊長だ。彼は神官の直属部隊「ホワイトベレー」の隊長だ。空島の法の番人を務めている。匍匐前進で遠くの方から登場したり、コニスが役目を果たしているか監視したり、変態でいやらしいやつだと思っていたが、彼は嫌われ役を買って出ていただけだった。エネルが空島を消し去ろうとしていることをコニスが命がけで伝えたとき、混乱に陥っている空島の人々を速やかに避難させたのがマッキンリー隊長だ。彼の辛い告白を聞いてほしい。

「我々とて…元々ガン・フォール様に仕えた神隊の一員なのだ。神隊への裏切りを態して も神・エネルに従い、この島に残ることで人々を護衛する方法もあると信じた…。…だが結局その手段もみじめなもの…。なるべく誰も神の怒りを買わぬように…せめて誰も彼に逆らわぬ様にと…それだけだ…情けなし…情けなし…!」

 告白する悔しい顔に、彼の人柄が出ている。

3位
正義を掲げて平和を願う怖い顔のTボーン大佐
ONE PIECE 38
ONE PIECE 38
  • 著者名:尾田栄一郎
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:

 読者はTボーン大佐を覚えているだろうか。蚊に刺されて出血した部下のため、海軍本部の大切なマントを破り、部下の止血にあたる上司の鑑だ。趣味は人助け、モットーは一日百善、「今日も平和で…世界が優しくあります様に」と決め台詞を吐いているあたり、超絶イケメンを想像してしまうが、残念ながら顔は超怖い。サンジたちにハメられて、アクアラグナで荒れる海を走りながら彼は叫ぶ。

「どれ程の民間人の血が!涙が流れるというのか!この不平等な浮世にも差しのべられる正義はあると!示すのだ!たとえこの荒波にこの手が!足が!もがれようとも!罪なき市民の明日は必ず私が守る!」

 ギャグ担当に思える彼のキャラクターだが、この叫びを聞いて心にジーンとくるものがある。今の時代に彼のような正義がいてくれたと 願うばかりだ。

4位
都合の良すぎる女ベビー5
ONE PIECE 70
ONE PIECE 70
  • 著者名:尾田栄一郎
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:

 都合の良すぎる女ベビー5が第4位にランクイン。必要とされることに喜びを感じるようで、新聞は50社と契約し、人に物をあげたり金を貸したりして、借金が1億ベリーほどある。婚約者も過去に8人いて、彼女の都合の良さを見抜いた醜男たちだったようだ。どうしようもないメンヘラ女ではあるが、彼女には辛い過去があった。貧しい村に生まれたベビー5は、「口減らし」で母親から捨てられる。そのときの母親の言葉がずっと彼女の胸に引っかかっていたのかもしれない。

 母親  「役に立たないお前は必要のない人間なんだから」
 ベビー5 「ママにも…ママにもひつようない?」

 笑顔で自分に銃を向けながら振り返る回想は、胸がつまる。幸いにも、八宝水軍の首領となったサイと結婚することになり、彼女はこれから幸せになるだろう。そしてサイは、借金1億ベリーを一緒に背負うことになるので、これから大変になるだろう。

5位
チョッパーをたらしこむトナカイミンクのミルキー
ONE PIECE 81
ONE PIECE 81
  • 著者名:尾田栄一郎
  • 発売元 : 集英社
  • 価格:

 はっきり言おう。彼女はこのランキングの動物枠だ。…といっても魅力がないわけではなく、チョッパーがメロメロになってしまうくらい魅惑のフェロモンを放っている。実際、けっこうカワイイ。私もちょっと惚れてしまった。…あーいかんいかん! 彼女のハートマークを見る限り、ミルキーもチョッパーに好意がありそうなので、これはもしかしたら、もしかしてしまうかもしれない。今回のランキングに入れるべきか悩んだが、動物枠で競っていたのが15巻に登場するハイキングベアおばさんだったので、さすがにそれはまずいと思い、ミルキーをランクインさせた。チョッパーとの将来への期待、そしてワンピース通に「ミルキー!?」と驚かせて「一発かます」という意味でも、覚えておくべきだ。

 この記事を書いた本人が言うのはなんだが、ワンピース通であろうがなかろうが、私は「ワンピース読者が増えて、同じ話題を共有するファンが周りにたくさんいてくれたらな」という思いでしかない。したがって、どんなにワンピースに詳しかろうが、どんなにワンピースへの想いが強かろうが、みんなで楽しいワンピーストークができれば、あとは関係ないのである。ルフィは「支配なんかしねぇよ。この海で一番自由なやつが海賊王だ」という名言を放っている。どんな形であれ、自由にワンピースを楽しんだ読者の勝ちなのだ。…我ながら素晴らしい記事の締め方をした。いい仕事をしたぜ。さて、自分へのご褒美に、片っ端からナミさんの裸のシーンを読んでまわろうと思う。私はこれにて失敬しよう。読者も好きなようにワンピースを楽しんでほしい。

文=いのうえゆきひろ