今、復興のためにできることを教えてくれる本ランキング

なんでもランキング

更新日:2014/10/16

未曾有の大震災となった3.11の東日本大震災から1年。
いまだに余震が続き、被災地の復興も進まないなか、ぼくたちは今、いったい何をすべきなんだろう?
そこで今回はダ・ヴィンチライターの月足渡さんが、改めて自分にできることは何かを考えさせてくれる5冊を選んでくれたよ。

1位
震災を歩き、出会った 「ふつうの誰かさん」たちの前向きドキュメント
できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと
できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと
  • 著者名:糸井重里
  • 発売元 : 新潮社
  • 価格:1,512円

「ほぼ日刊イトイ新聞」に掲載された震災関連コンテンツを再構成して書籍化。キーワードは「ふつうの誰かさん」。収録記事は「ふつうの誰かさん」である「ほぼ日」スタッフが被災地で出会った「ふつうの誰かさん」たち。「ふんばろう東日本プロジェクト」を立ち上げた人、気仙沼の廻船問屋さん、亘理郡山元町の彼女、特別な夏になった高校野球福島大会参加チームの監督さん、選手たちなど、「ふつうの誰かさん」同士の震災つながり。この本を読んでまた「ふつうの誰かさん」は思った。何かできると決して驕らず、何もできないと自分を責めず、自分にできることをできるときにしようと。震災とのかかわり方が見つけられる本。

2位
「誰のために、なんのために復興するのか。 それを常に忘れてはならない」
被災地の本当の話をしよう ~陸前高田市長が綴るあの日とこれから~ (ワニブックスPLUS新書)
被災地の本当の話をしよう ~陸前高田市長が綴るあの日とこれから~ (ワニブックスPLUS新書)
  • 著者名:戸羽太
  • 発売元 : ワニブックス
  • 価格:821円

岩手県内でもっとも大きな被害を受けた陸前高田市長が語る3.11とこれから。震災直後、自らの家族の安否よりひたすら市民を守るために活動。復興の基本も「誰のために、なんのために復興するのか。それを常に忘れてはならない」と。ヒロイックなリーダー像は拒む。今後の災害と向き合い方として「減災」をあげる。「あれだけ大きな地震だったのに、これだけの被害ですんだ。こんな大きな津波に襲われたのにほとんど人が助かった」。それが「減災」。それには自分の命は自分で守るが基本になる。危機管理が欠落した国の対応にも鋭く言及。今後は、行政と自分の命は自分で守るを一体化した防災の仕組みが課題という。

3位
日本の人口の約7割は、 軟弱地盤を主とした沖積層の上に住んでいる
リアルM9.0 次の地震の前に知っておきたいこと (徳間文庫)
リアルM9.0 次の地震の前に知っておきたいこと (徳間文庫)
  • 著者名:今村遼平
  • 発売元 : 徳間書店
  • 価格:630円

東日本大震災の復興対応の一方で、発生の切迫が予想されている大地震にも備えなくてはならない。それは東海地震、関東地震、東南海地震、南海地震。「日本の住んでいる人口の約7割は、軟弱地盤を主とした沖積層の上――いわば縄文前期の海底に――住んでいる」という。地盤は地震被害を大きく左右する。著者は地震に個人として備える要点を3点あげる(要約)。①家のある土地の潜在的な安全性を知っておく。②日頃からトータルに災害に備えておく。③「自分の身は自分で守る」という心構え。その具体策は本書のなかで。地震のことを知り、その備えにすぐ役立つ1冊。

4位
「言葉と言葉の間に屍がある」 震災後、言葉はなにをなしえたのか
瓦礫の中から言葉を―わたしの<死者>へ (NHK出版新書 363)
瓦礫の中から言葉を―わたしの<死者>へ (NHK出版新書 363)
  • 著者名:辺見庸
  • 発売元 : NHK出版
  • 価格:799円

震災後、言葉はなにをなしえたのか。事実に言葉が追いつかず、立ち止まったまま。あるいは災厄の大きさに尻込みし、萎縮したままではないのか。それはなぜなのか。故郷・石巻を海に呑まれた著者が問う。「言葉と言葉の間に屍がある」。「いま語りえない言葉を混沌と苦悩のなかから掬い、他者の沈黙にむけて送り届ける」ために、また震災以降の「個々人の生活より国家や国防、地域共同体の利益を優先するのが当然という流れ」に抗するために、『3・11という傷を負うたこの国の「言葉の危うさ」と「言葉の一縷の希望」についての本である』(「橋--あとがきの代わりに」より)。

5位
震災・原発事故からの再生を、文学作品を通して見る
震災と原発 国家の過ち 文学で読み解く「3・11」 (朝日新書)
震災と原発 国家の過ち 文学で読み解く「3・11」 (朝日新書)
  • 著者名:外岡秀俊
  • 発売元 : 朝日新聞出版
  • 価格:819円

被災地ルポを交え、震災・原発の状況を文学作品に敷衍、再生への道をさぐる。登場する作品(括弧内は敷衍の要点)は、カフカ「城」(ダブルバインドと無責任体制)、島尾敏雄「出発は遂に訪れず」(軍国主義と原発神話。警戒区域の南相馬市小高区は島尾敏雄の故郷)、井伏鱒二「黒い雨」(ヒロシマからフクシマへ、被曝をめぐって)、ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」(故郷を失った家族の絆)、宮澤賢治「雨ニモマケズ」(生きる姿勢、共生)など。宮澤賢治「春と修羅」の序にこんな言葉がある。「すべてがわたくしの中のみんなであるように みんなのおのおののすべてですから」

人のために「なにができるのか」を考えるのと、自分自身を守るために何ができるかを考えることは同じ重さ。自分を守るための備えが、いつかそのとき人の負担を減らし、また人の命を助けることにつながるかもしれないよね。他にもベスト5を紹介して欲しいネタがあったら、@bookrakoまでよろしくラコ!