本のソムリエ・書店員オススメ“電車通勤が楽しくなる小説”

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

毎日膨大な量の本に接し、本の知識なら誰にも負けない“本のソムリエ”としてとっても頼りになる書店員さん。そこで今回は、書店員暦6年、ジュンク堂書店大阪本店で文芸書を担当している村中友希さんに、“電車通勤が楽しくなる小説”をセレクトしてもらった。

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■『パパの電話を待ちながら』 ジャンニ・ロダーリ/著 内田洋子/訳 講談社 1470円
イタリアの児童文学作家による珠玉のショートショートがおもちゃ箱のように詰まっています。ユーモアと絶妙なシュールさで通勤の足取りも軽くなること間違いなし。何度読んでも楽しめます。

■『犬の人生』 マーク・ストランド/著 村上春樹/訳 中公文庫 620円
独特の世界観を放つ不思議な短編小説が14編。その中に電車で自分と同じ本を読んでいる女性に運命を感じちゃう男性が登場する小説があります。この恋多きおっちゃんが私の一番のお気に入りです。

■『きなりの雲』 石田 千 講談社 1680円
周囲の人の優しさと植物や自然の力に支えられ、徐々に失恋の傷を癒す主人公さみ子。季節感が感じられる描写から私も元気をもらいました。ちなみに著者は踏切ファン。エッセイもお薦めです。

■『南下せよと彼女は言う 旅先の七つの物語』 有吉玉青 小学館 1575円
これぞ小説の醍醐味。満員電車で海外旅行に出かけよう! 絵画に映画、食文化にも造詣が深い著者によるドラマチックなストーリーが薄い空気を清らかにしてくれます。1575円で7つの旅はお得。

■『窓ぎわのトットちゃん』 黒柳徹子 講談社文庫 680円
校舎が、使われなくなった電車だなんて素敵ですね。子どもの頃の記憶がふっとよみがえったり、トットちゃんの優しさと繊細さにちょっと油断したら涙がこぼれそうになります。車内ではご注意下さい。

ダ・ヴィンチ10月号「本屋さんの時間 本のソムリエ」より)