本のソムリエ・書店員オススメの“身につまされる新書”

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

 毎日膨大な量の本に接し、本の知識なら誰にも負けない“本のソムリエ”としてとっても頼りになる書店員さん。そこで今回は、書店員歴13年、さわや書店フェザン店でビジネス・新書・人文を担当している栗澤順一さんに、“身につまされる新書”をセレクトしてもらった。

■『独立国家のつくりかた』 坂口恭平 講談社現代新書 798円
幼いころ誰もが夢見たはずの自分だけの国。その夢を様々な手法を使って成し遂げた著者。今ある経済観念に囚われず、自らの信念に基づいて動くその姿に、思わず自分自身の現在を省みてしまいます。

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■『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』 木暮太一 星海社新書 903円
マルクスの資本論をベースに、現代の働き方に警鐘を鳴らす本書。もっと早くに気づいていれば、と思う内容が詰まっています。たとえそうでも、大富豪になっている自分を想像できないのが悲しいですが。

■『「会社帰りに一杯」の習慣は大正解だった 癒しの脳内物質・オキシトシンが心を満たす』 有田秀穂 マイナビ新書 872円
飲んで帰ったら、机にこっそり本書を置きましょう。翌朝、それでも奥様の怒りが収まらなかったら……? 大丈夫。脳科学を基にした本書のコミュニケーション論は、夫婦喧
嘩のフォローにも役立つはず。

■『オッサンになる人、ならない人』富増章成PHP新書 756円
ありがちな行動の解説で笑いを誘いつつ、様々な思想家等の言葉を引用したまじめな「オッサン」論。オッサンに縁のない人も楽しめるタイトルですが、職場や家庭でプレゼントされたくない気もします。

■『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道』 新 雅史光 文社新書 777円
歴史、経済、政治などの見地から商店街を検証。流通の枠内で捉えがちな問題を、雇用や家族など社会学的観点から見直した力作。商店街の衰退は我々の暮らしから何を奪ったのか。考えさせられる1冊。

(ダ・ヴィンチ11月号「本屋さんの時間 本のソムリエ」より)