ダ・ヴィンチ読者484人に聞く「本を選ぶとき、最も身近な方法は?」

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更新日:2012/11/16

 1年に出版される書籍点数は、7万点を軽く超えるという。膨大な本の海から、読者はいったい何を指針として読みたい本を選んでいるのか。個人の偏った主観では、読書の幅は広がらないのではないか。その疑問を探るべく、『ダ・ヴィンチ』12月号でライターの北尾トロが「本選びの実態」を大調査。同誌読者484名にアンケートを実施し、本を選ぶとき、もっとも身近な方法を尋ねてみた。

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 第1位は、半数近くが実行している「書店でたまたま出会う」という方法。誰もが納得する行動パターンが並んだ。

●自分の直感で選びたいから。タイトルだけでなく、目次や書き出しに触れてからでないと面白いかどうか判断できない(大学生・20歳・女)
●書店の平積みの台を一回りして、文庫の裏側のあらすじをざっと読んで決めます(会社員・39歳・女)

 自信持ってるね。ざっと7割が、欲しい本が買えてる印象だ。しかし、書店へ行けばいい本に会えるという保証はない。

●そのときの気分で(買っている)。タイトルや装丁を見て選ぶ。内容は期待はずれが多い(主婦・34歳・女)
●頻繁に通っているが、友人の紹介や書評を読んで選ぶより、いい本に当たる確率は低い(パート・39歳・女)

 第2位は新聞や雑誌の書評。書評でざっくり内容をつかみ、書店で最終確認して買う買わないを決める効率的な方法で、他力読書の定番でもある。

●大型書店に行くことが増え、自分の足とカンだけでおもしろい本を探すのは難しくなってきた。そこで、雑誌や新聞でプロの本読みの方がおススメしている書評をかなり頼りにしている(会社員・41歳・女)
●自分で探すよりいい本に出会える可能性が高い(無職・25歳・男)

 このあたりが代表的な意見。書評家の巧みなリードで、少し背伸びした本を買う気になれれば、読書の幅は広がるのだ。ただしこれは信頼できて趣味の合う書き手がいての話。最近は新聞を取らない人が増えているし、誰もができることとはいえない。

 第3位はテレビや雑誌などのランキング。

●よく読まれている本はやはり魅力があります。上手くいくことが多いです(パート・46歳・女)
 本読むのに世間の流行に合わせてどうすると思うが、本誌読者でこれなのだから一般的にはもっと比率が高いのだろう。既刊本との出会いをハナから放棄している。

 第4位に、WEB上の口コミを参考にする他力派がいる。

●自分と好みが合うなぁと思う人さえ見つけてしまえば、だいたいその人の薦める作品はハズレがありません。本の感想だけを読むのではなく、その人が日頃つぶやいていることやブログに書いていることを読んで自分と好みが合いそうかどうかを判断しています(フリーター・29歳・女)

 そして第5位は、知人友人の推薦。

●趣向が似ている友人、または真逆の趣向の友人。特に真逆の趣向の友人からは、読書の幅が広がり新しい世界も広がります(主婦・41歳・女)
●新聞等の書評はそれを書いた人の好みが反映されているが、その人自身を知らないので頼りきると失敗してしまうんですが、友人からのオススメは日頃その人の読書傾向を知った上で受け止めるので、ほとんどハズレなしです(公務員・29歳・女)

 同誌では、この結果を踏まえて北尾トロが「知人伝手に推薦図書を集める」案を決行。ランキングでは最下位だが、読書の幅を広げるにはもっとも有効的ではないか? という仮説のもと、知人から知人へと次々へ賽を振って推薦図書を集め、身を以て検証している。

取材・文=北尾トロ
ダ・ヴィンチ12月号「トロイカ学習帳」より)