【累計10万部突破】恋をすることの地獄と天国――『一途ビッチちゃん』5巻が切なすぎ!

恋愛・結婚

公開日:2022/6/19

『一途ビッチちゃん5』(色のん/KADOKAWA)

 うまくいかなかった恋愛ほど、終わらせられないものである。意識しないようにするほど意識され、見ないようにすればするほど視界に入る。そしてやっぱり好きだと思ってしまう。

 喉元すぎれば甘酸っぱい思い出になる失恋も、喉元すぎるまでは身を焦がすように苦しいもの。『一途ビッチちゃん』(色のん/KADOKAWA)最新刊では、そんな苦しみと戦う女子が登場する。

『一途ビッチちゃん』はツイッターで毎週更新している恋愛マンガ。6月16日に第5巻が発売、累計10万部(※)を突破する人気ぶりだ。(※電子書籍含む)

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 本作の主人公は、一途ビッチちゃん=歩(あゆみ)と悠生(ゆうき)だが、5巻で特に焦点が当たるのは、悠生に想いを寄せる「きっくー」だ。彼女は長いこと悠生に想いを寄せているが、悠生はあゆみ一筋。好きになった時点で、負けが決まっている恋。しかし彼が常に近くにいるものだから、なかなか「おしまい」にできない――。

 そんな彼女の葛藤を知っているのが、バイトの先輩であり悠生の兄である遥太(ようた)。チャラいようで人一倍ひとの気持ちがわかる彼は、これ以上きっくーが傷つくことがないよう、つかず離れずな距離感で支えている。夢でまで失恋する彼女に添い寝したり、泣き顔を見られないようにガードしてあげたり、傷心の乙女につけいるクズを撃退したり。惚れてまいそうなファインプレーの連発だ。

 彼がそんなにも優しくしてしまう理由は、遥太自身の傷つきが関係している。遥太と悠生の家はなかなか難しい家庭で、温和に見えて支配的なところがある父親、若干ヒステリー気味な母親のもと、兄は反発し、弟は親の期待に応えるため自分の願いを抑え込んでいた。弟のように従順になれない遥太は両親から見限られ、ひとり家を飛び出して暮らしていた。

 愛されたい人に愛されなかった。そんな傷を持つ彼としては、愛されたい人に愛されない女子が目の前にいたら放ってはおけないのである。

 傷というのはきっと人が成長するためにある。きっくーは強い子で、涙を流しながら、やがて前に進む決断をする。自分の恋は無駄じゃなかったんだ、という答えを見つけるために。

 すべての登場人物が、かけがえない誰かを想うことで、自分の過去を乗り越えていく。恋愛とは成長なのだということを教えてくれるのが『一途ビッチちゃん』の真骨頂。傷ついている、あるいは傷つくことを恐れて踏み出せない人に、ぜひ読んでほしい最新刊だ。

文:タヌタヌ