超一流の人こそミスを上手に活用している!? 失敗を恐れず自らの糧にする方法

ビジネス

公開日:2022/7/1

ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術
ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(後田良輔/明日香出版社)

 仕事には失敗がつきものだ。どんなに注意をしていても、ミスをするときはしてしまう。ならば、やらなければいけないことはミスを恐れて、ミスを避けるのではなく、ミスと上手く向き合い、むしろ逆手に取ってプラスの結果を導きだす。そんなことができたらどれだけ良いだろう。

 もし、そう思えたなら『ミスを最大のチャンスに変えるリカバリーの技術』(後田良輔/明日香出版社)をチェックしてみてほしい。本書は大手広告代理店で約30年営業を務めてきた後田良輔氏によるもの。彼は“失敗だらけのダメ人間”を自称するほど失敗の多い半生を送ってきたという。本書では、その一例が紹介されているが、どれも想像するだけで憂鬱になるほどのミスばかりだ。


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自称・失敗だらけのダメ社員が変わったきっかけ

 そんな彼が、営業として素晴らしい成績を残してきたのに加え、数々のビジネス書を出版したり、さまざまなメディアに出演できたりするようになったのには、失敗に対する意識改革があった。

 その意識改革のきっかけは世界企業のCEOや上場企業の社長、政治家、医者、弁護士、大物俳優・女優を中心とする芸能人ら、一流として活躍する人との交流から見出した“失敗のリカバリーパターン”を実践したこと。

 超一流と呼ばれる人は、失敗をせずに超一流となったのではない。失敗を糧にする、あるいは失敗で生み出したマイナスを大きなプラスに変換することができたからだ。

ミスをしたら5つの対処法から考える

 失敗の対処法はたった5つに分類できる。場所や状況が違えば、問題・解決方法は無限に出てくるように感じてしまうが、著者によれば、それは間違いなのだという。その対処方法は以下の5つ。

①組織で対応する
②相手に安心してもらう
③冷静さを取り戻す
④必要以上に怒りを買わないことを目指す
⑤感謝する・メンツを立てる

 対処法が絞られているのならば、ミスをしてパニックになった頭でもすぐ冷静になり考えやすいはずだ。まずは、起きてしまった失敗から最適なリカバリー方法に則って、作戦を立てる。これだけでも、失敗特有のおも~い気持ちがちょっとだけ軽くなるだろう。それが逆転へのスタートになる。

ミスが早く、一気に、完璧に解決できる「GATEの法則」

 ヒューマンエラーはパターン分けすることができる。ならば、失敗をプラスに変えることができる解決方法もパターンを見つけることができるのだ。そのパターンが、ミスを素早く、一気に、完璧に解決できる「GATEの法則」に集約されている。

 GATEの法則とは、以下の4つの頭文字を取ったもの。

【G:Goal(目標を定める)】
目標を定めることで「具体的なビジョンを描ける」「時間を有効活用できる」「前向きな思考になれる」。

【A:Action(正しい行動)】
正しい行動とは、自己満足・自分本位の考えを捨てて、迷惑をかけてしまった取引相手や上司が望む行動。このために、

①トラブルが引き起こされた背景を整理する
②理想のゴールイメージを持つ
③ゴールに必要なクオリティ(品質)を把握する
④トラブル解決までの優先順位を明確にする

 以上の4つがポイントになる。

【T:Technology(失敗をリカバリーする技術)】
 本書には「遅刻、スケジュールや計画のミス」「忘れた、準備不足のミス」「コミュニケーションのミス」「ビジネスマナーのミス」「仕事を進める上でのうっかりミス」「メンタルによるミス」など、場面ごとの失敗をリカバリーする技術を紹介している。

 中には、「メールを誤送信してしまった」「遅刻してしまった」など、誰もが一度はやりそうなシチュエーションが紹介されているので、多くの人の役に立ちそうだ。

【E:Emotion(相手の感情に寄り添う)】
 家や車といった高い買い物をするとき、たとえそれが、どんなに素晴らしい商品であっても、セールスマンが売り上げのことしか考えておらず、ぞんざいな扱いをされれば、その会社で買おうとは思わないもの。

 失敗のリカバリーも同じで、相手の感情に寄り添うことで「ミスはしたけど、一生懸命やってくれた」とマイナスがプラスに転じることもある。

 ミスはしたくない。しかし、避けていてもしてしまうものだ。考えたくもないとフタをしてしまい、リスクマネジメントを怠るのはもったいない。ミスは学びのチャンス、ミスを逆手にプラスに転じる!それくらいの気概を持ちたいものだ。

文=冴島友貴

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