ダイエット奮闘記や書き下ろしも収録! 大人気ねこコミックエッセイ『黒猫ろんと暮らしたら』に4巻登場

マンガ

公開日:2022/7/14

黒猫ろんと暮らしたら4
黒猫ろんと暮らしたら4』(AKR/KADOKAWA)

 まるで、宝物を詰め込んだかのような一冊。『黒猫ろんと暮らしたら』シリーズ(KADOKAWA)は、そんな言葉が似合う、ほんわか系の猫コミックエッセイだ。

 作者のAKRさんは2014年に黒猫のくろあんくん(通称:ろん)を迎え、猫飼いデビュー。人懐っこく甘えん坊なろんは黒猫が持つ「クールなイメージ」を覆し、AKRさんに多く笑顔をもたらした。

 本シリーズではふたりの日常はもちろん、子猫時代の思い出やAKRさん家族とろんの微笑ましい交流、弟の飼い猫との期間限定同居の様子なども公開。そのゆるい日常は、多くの読者に笑いと癒しを与えた。

 そしてこのたび発刊された第4巻でも、心温まる世界観は健在。本作には8歳になったろんの日常やダイエット奮闘記などを収録。40ページ以上の書下ろしやろんの写真も楽しめる、見ごたえたっぷりな作品となっている。

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■甘えっぷりと知性に磨きがかかった「ろんの日常」

 共に過ごす時間が長くなるにつれ、愛猫に対する飼い主の愛は増していくが、もしかしたら猫のほうも歳月に比例するかのように「好き」の気持ちを募らせてくれるのかもしれない。そう思えるやりとりが本作には多数収録されており、頬が緩む。

 なかでも特に微笑ましかったのが、ろんの鼻に何かついていることに気づき、AKRさんが確認しようとした時の話。顔を近づけるやいなや、ろんは鼻チューでご挨拶。

 顔を遠ざけるまで何度も鼻チューをしてくれたため、AKRさんは手をかざし、「ちょっと待って」と制止。すると、ろんは、またもや勘違いをし、愛くるしいハイタッチを見せてくれたそう。

黒猫ろんと暮らしたら4 P10

 ろんは、雷の時にはAKRさんの足の親指を握りしめたまま眠ったり、背中をさすられながら食事をしたりしたことも。

黒猫ろんと暮らしたら4 P81

 こうした甘えエピソードからは、ふたりの間に強い信頼関係が築かれていることも伝わってきて胸が温かくなる。

 また、ろんは歳を重ねながら知性を磨いてもいるよう。AKRさんが冗談で落としたヘアゴムを取ってほしいと頼むと、エアホッケーのように手元へ飛ばしてくれたり、両手が塞がっている時に引き戸を開けてくれたりと、人間顔負けの行動をたくさん披露。

黒猫ろんと暮らしたら4 P18

 知性溢れるろんは、体重計の乗り方も学習してしまったというから驚きだ。

 実はろん、昨年の初夏に肺炎を発症し、通院治療をすることに。幸い1週間ほどで無事に完治したが、治療のために行った検査によっておデブであることが判明したのだそう。

 そこでAKRさんは、いつものキャットフードを獣医師指定のダイエットフードに変更。獣医師のアドバイスを参考に、ろんの体質を踏まえて適正量を探り、ゆっくりと体重を落としていくことにした。

 すると、ダイエット中、目に飛び込んできたのは自ら体重計に乗るろんの姿。数日ごとに体重をセルフチェックしてくれるようになったことにAKRさんは衝撃を受けた。

 もしかしたら、ろんが日々、知性を磨く理由は大好きなAKRさんの笑顔をもっと見たいからなのかもしれない。

 現在、8歳のろんは年齢的に言えば、シニア猫。しかし、まだまだ好奇心旺盛で、家族に愛されながらパワフルな日々を送っている。この穏やかで尊い日々が、1日でも長く続きますように――。読後、そう祈りたくなり、自分の愛猫への愛情がより一層募ったのは、きっと筆者だけではないはず。話す言葉が違っても人と猫は分かり合うことができるという事実を、ろんとAKRさんは伝え続けている。

文=古川諭香

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