“推し”はマンションの隣人で、BL練習に付き合わされて…!? リアルな推し活事情も描かれる『推しのBL練習に付き合わされています』

マンガ

公開日:2022/7/17

「実は推しと同じマンションの隣同士に住んでいた」

 推しがいる人であれば、夢のような話である。そんな夢のような話から展開されるBL漫画『推しのBL練習に付き合わされています』(主婦の友インフォス)の連載が始まった。著者は2011年にデビューをし、以後複数作品を発表してきた、いといあすさんだ。


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 主人公は、山路唯人(やまじ・ゆいと)、21歳、大学4年生。要領がよく、演劇サークルでも部員から演技派と認められているような青年だが、極度に緊張しやすく本番に弱いのが玉に瑕。そのせいで企業からもお祈りばかりをされ、内定がもらえない。落ち込む山路に、友人は息抜きにアイドルグループ「ing(イング)」のライブに行かないかと誘う。3人グループで、男性アイドルではあるが男性ファンも多いという。あまり乗り気じゃないまま会場に足を運んだ山路は、しかし、彼らが登場した瞬間、センターのRINに心奪われてしまう。思わず周りがどよめくほどの大声で「RINー!」と叫んでしまう山路。ここから山路の“推し活”は始まるのだった。

推しのBL練習に付き合わされています
『推しのBL練習に付き合わされています』(いといあす/主婦の友インフォス)

 RINのオタクになった山路は、ある日間違えて届いた宅配便の荷物のせいで、一気に“推し”と距離を縮めることになる。ingのブルーレイだと思って開けた箱には、かなり過激なゲイビデオ。宛先を見ると、隣の部屋だった。謝るために荷物を持って隣のインターホンを鳴らした山路は、その扉から出てきた青年がRINと気づくのだった。

 BLドラマに出演することが決まったRINは、初のドラマで何をすればいいのかわからず困っていた。そこに演劇サークル所属の山路が現れたことにより、台本読みの練習に付き合ってもらうことを思いつく。快諾した山路だったが、練習というのは濡れ場のシーンで――。

 タイトルこそちょっと過激だが、内容は推しの前でひたすらはしゃぐオタクの可愛いBLである(もちろん濡れ場もしっかりある)。

 この作品の特徴のひとつに、推し活のリアルな描写がある。例えば山路をアイドルのライブに誘った友人は、そのアイドルを好きになった理由を「SNSの私服シリーズがすげーバズっててさ 俺もそこから知ったんだよ」と話す。手頃なファッションブランドに身を包むRINの写真や、そんな彼からアイドルを好きになった男友達の姿は、とても現代的かつ等身大で感情移入がしやすい。

 RINという推しができた山路の生活もまたリアルで細かい。SNSの投稿を逐一チェックし(そしてその投稿が動画であることに喜び)、雑誌の掲載リストをこまめに確認し更新していく。ステージとはまるで違うRINの日常の姿を見ても「目の前で最推しが照れて小さくなってるとか尊過ぎて今すぐ死ねる」とオタクの距離感は忘れない。

 読んでいると、思わず山路と同じようにRINのことを可愛いと思っている自分がいる。山路とRINのキャラクターも立っているし、夢のようなシチュエーションだが山路のオタクとしての行動や心理描写がいちいちリアルなので不思議と現実味がある。

 今はまだ推しとオタクの関係だが、これから2人はどのように仲を深めていくのか。一度でも推しができたことがある人には特にオススメのBL作品である。

文=園田もなか

▼「Renta!」連載ページ
https://renta.papy.co.jp/renta/sc/frm/item/300900/

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