人に異様に気を使ってしまうあなた、愛着障害の疑いあり

更新日:2012/11/26

愛着障害〜子ども時代を引きずる人々〜

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 光文社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:岡田尊司 価格:599円

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私はウルトラ級の人見知りで、知らない人に会うのには怖じ気づき、よく知った人とさえ気恥ずかしくって目を合わせられない。他人の思惑が病的に気にかかり、タクシーに乗ってはあたう限りの優しい声で行き先を告げるし、見ず知らずの人に電話をかけるなどスカイツリーのてっぺんから唾を吐くよりも怖い。

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子どもを持つのに関心がない。というか恐ろしい。
といったもろもろの症状が、愛着障害だとこの本で知った。知って安心したかといえば、ますます自分がいやになった。

うつで、パニック障害で、愛着障害、いいとこなしではないか。
という過剰な自己嫌悪も、やっぱり愛着障害らしい。人間の皮を被った愛着障害、それが私だ。

子ども時代に母親とふれあうことで生まれるのが愛着だと書かれている。この愛着を、健全に打ち立てることができた人間は、他者となめらかな関係を築くことができ、チャンスを生かし、見事に才能を開花させる。

これと逆に、母とのスキンシップが少なかったもの、幼いころに母と別れ別れになったもの、虐待を受けたもの、などなどはうまく愛着を確立させることに失敗し、上手に他者とコミュニケーションし得ないどころか、自分ともうまくつきあえず悩みを抱えることとなるのだ。

本書は、漱石、太宰、ヘミングウェイなど、愛着障害と思える文豪たちを例に取りながら、そのきたる根源と、症状をわかりやすく解説していく。それは一種の文学解釈としても読め、なかなかに興味深い。

そうして最後の章は、お待ちかね、愛着障害の乗り越え方のイロハである。自分もやっぱりこのタイプ、仕事も恋愛ももっとスムースにこなしたい、そんな感慨に日頃ひたってもうどうでもいいというやけっぱちな気持に陥っている諸兄は、ぜひ読んでご覧になるとよろしかろう。


「はじめに」で、愛着障害の慷慨が説明される

愛着は「第二の遺伝子」である

人生の困難には、大きく愛着の問題が関与している