京都路地の長屋に店を構える、「つくる人」たちのほのぼの純愛オムニバス

2012/11/23

路地恋花 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:麻生みこと 価格:540円

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実は私、生まれも育ちも京都嵯峨野の、生粋の京都人であります(とはいっても皆様の京女のイメージとはかけ離れた大雑把な性格ですが)。本作を読んで驚いたのは、「あるある!」「ですよねー」と共感しながら楽しめる、“イマドキの京都”を完璧に再現しているというところ。京の路地(ろぉじ)はちょいと覗くと、網目のような細道が続いています。特に祇園なんかは、お洒落なお店だらけの大きな通りから少し奥へ進めば、風情のある町家や長屋たち。さて、本作は実際にある京都の長屋に住む、「つくる人」たちのラブストーリーです。

どのような内容になっているのかというと。
○第1話【綴】紙フェチの女性(他方さん)が商うオーダー製本を承る手作り本工房に、元プロのロックミュージシャン(ネイティブ=京都人)が、自分の楽譜を本にしてくれと注文する恋花(コイバナ)。彼女が紙に綴じるものとは?
○第2話【MONO・CHROME】銀細工職人の男と、相手が変わるたびにペアリングを作って欲しいと来店する常連女性の恋花。銀細工に込められた本当の想いは?
○第3話【タツミアツロウ】京都美大卒業の天才的な絵画センスを持つ、生活力皆無男と、彼の才能に圧倒されて描くことを止めた女の恋花。彼は何の為に絵を描くのか?
○第4話【夏菊】壁にぶち当たり書くことを止めて喫茶店を営む元小説家の男と、京都嫌いなロリータ少女の恋花。古都を愛した文豪から学ぶ、中年男のオトし方(笑)
○第5話【カンテラ】長屋の大家かつキャンドル作家のはんなり京美人と、彼女にあこがれる青年の恋花。バツ一女性の言葉の裏は?
こうやって並べてみると話によってタイトルがガラリと変わるのが印象的ですね。

特にインパクトが強いのは第4話。
本作で最も京女らしい性格の、実家が祇園和菓子屋なフランス人形(ロリータ)・ナオミ。しかし彼女は「古臭い」という理由で大の京都嫌いなのです。言うこと成すことバリバリの京女なのに。そんな彼女に対する元小説家・皐月の反応はこちら。
「いるんだ京都嫌いの京都人… すべからく京都が世界の中心だと思ってるんだと思っていた」(本文抜粋:京都人は東京に首都を『貸してる』と思っている)。まぁ、私も否定はしませんが…。

そんなナオミの京女語録はこちら。
「(嵯峨野出身の女性に対して)京女ちゃうやん」(一部の京都人は洛中以外を京都だと認めない)
「たかだか80年で老舗なんて言うたらそれこそ嗤われるわ」(京都では三代続かないと商売とも認めてもらえない)
…まぁ一応弁護をば。洛中などの、古い町家や老舗がある辺り以外の京女はテレビに紹介されるほど怖くはありません。まぁ経験的に言うと、京女の嫌味なんて習慣のようなものですし(私にも多少の嫌味を言う習慣はあります…)、気にせんかったらさほど問題ありまへんえ?(笑)

とまぁそんな彼女に苦手意識を持つ皐月ですが、当のナオミにとても気に入られてしまい、毎日のように喫茶店に入り浸られます。店に通いながら文豪の耽美小説を読むうちに、色んな技を覚えるナオミに注目!


【第1話】私情厳禁をポリシーに、客の言う通り本を綴じてきた小春への、イケメンからのオーダーは「全部任す」

【第2話】常連客のかれこれ何回目かになる「マリッジリング」の注文に唖然とするみっちゃん

【第3話】自分の行きたかった大学に行けなかった彼女。プライドの高い凡才が、天賦の才能にくじけた瞬間…

【第4話】「こないなとこ(謙遜)まで何しに来はったん(とっととカエレ)?」。ロリータの京都弁に隠された細やかな地雷(笑)

「川端先生 志賀先生 夏目先生 谷崎先生。寄ってたかって 何て女に育ててくれた」。本気でオトされ焦る中年男。果たしてナオミは何をしたのでしょう

【第5話】青年が憧れるキャンドル作家のはんなり美人。このキャンドルは是非カラーで見たかった~!!
(C)麻生みこと/講談社