大島優子が「キライ」な『悪の教典』の原作者、貴志祐介の怖すぎる傑作

小説・エッセイ

公開日:2012/11/26

黒い家

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:貴志祐介 価格:712円

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生命保険会社の営業マンである若槻慎二が、ある日顧客に呼び出されて行ったのは不気味な黒い家。そこで若槻は子供の首吊り死体を発見してしまう。保険金殺人ではないかと疑った若槻は独自で調査をはじめるが、彼が敵にしてしまったものは、常軌を逸した決して接してはいけない類の人間だったのである。現在話題の映画『悪の教典』の原作者、貴志祐介が人間の恐ろしさを巧みに描いた怖すぎる傑作。

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昨今のニュースなんかを見ても思うことですが、幽霊や宇宙人なんていう未確認生物も確かに怖いけど、本当に怖いものはそんな漠然とした存在ではなくて、確固たる恨みや憎しみを持ち欲望に塗れてしまった人間なんだということ。そういうことを、この小説は嫌というほど思い知らせてくれます。この物語はフィクションですが、著者が元保険会社勤務ということもあって、保険会社の業務のディテールなんかがとても細かくリアルで、そのせいでまるでノンフィクションのように読めてしまう。というか、多分実際にあるんだろうな、こういうこと。人間の死がお金に直結しているって、やっぱりちょっと特殊な仕事ですもんね。金に目が眩んだ人間の恐ろしさたるや、多分相当なものだと想像できます。

物語は淡々と進んでいくのですが、主人公が敵の罠に徐々にはまっていってるような常に付きまとうハラハラドキドキ感と、そして突然始まる緊迫したシーンとの繰り返しで、読みはじめたら全く読み止められません。でもラストの方は怖すぎて、ちょっと1回本を閉じて一息ついちゃったりします。それくらい怖いのです。しかも人間の怖さが想像できるというか、心理描写が本当にリアル。第4回日本ホラー小説大賞・大賞までも受賞している傑作です。最高に怖いけど最高におもしろいです!


毎日の保険会社の業務を淡々とこなす若槻

「自殺をすると保険金はでますか?」という奇妙な1本の電話がかかってくる

顧客に呼び出されて行った家は不気味な黒い家だった