フランス人の家飲みを我が家で再現! 伝説の家政婦・タサン志麻が教えるカンタン・おいしいおつまみ

暮らし

公開日:2022/8/6

志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ
志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ』(タサン志麻/マガジンハウス)

 仕事や家事がひと段落した後のおうち時間のお楽しみ、晩酌。そして、そんな幸せな時間に欠かせないのが、お酒に合うおつまみだ。しかし、自分で用意する代わり映えのしないおかずや、できあいのおつまみに飽きてきたという人もいるのではないだろうか。そんな人の晩酌タイムを豊かにしてくれるのが、『志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ』(タサン志麻/マガジンハウス)だ。

志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ P79

 伝説の家政婦・志麻さんことタサン志麻氏による最新のレシピ本のテーマは、「極上おつまみ」。お客さんが来ると、つまみをさっと用意して一緒に飲み始めるフランス人のように、家にある食材でおいしいおつまみを手軽に作り、楽しむ方法を提案する本だ。

 著者が、家政婦として依頼主のリクエストに応えたり、自分でアレンジしたりして生まれたおつまみから、評判がよかったものをチョイスしたという本書のレシピ。著者はまえがきで、「塩味をしっかりめにして、酸味やスパイスを加えたりする」というおつまみ作りのポイントを伝えつつ、分量や味付けはいい加減で良いと伝える。その言葉通り、本書のレシピの多くは、いい意味で緻密ではなくシンプル。普通の家の冷蔵庫に常備してある食材や調味料で作れるのも嬉しいポイントだ。

advertisement
志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ P49

 たとえば、豆腐や油揚げ、切り干し大根など、和の食材で作れるおつまみも豊富だ。「豆腐のケーキ仕立て冷ややっこ」は、絹豆腐をケーキのように三角に切って材料をかけるだけのシンプルな料理だが、見た目もかわいく気分が上がる。ナンプラーやコチュジャンを使ったエスニックな切り干し大根レシピも新鮮で、チャレンジする価値がありそうだ。

志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ P37

 卵やハムなど、普段使いの食材で作れるレシピが多いのも本書の特徴だ。たとえば、ハムをミキサーでペースト状にしてクリームチーズと混ぜる「ハムのリエット」も特別感がある。いつものハムが、フランス風のおしゃれな前菜になるなんて驚きだ。「ウフサバマヨ」は、フランス人がよく食べるという定番メニューの「ウフマヨ」を志麻さん流にアレンジしたレシピ。缶詰のサバ水煮とレモン汁を使った、食べ応えのありそうな1品だ。生卵とベーコン、マヨネーズと塩をココットに入れてオーブンで焼くだけの「ウフココット」も、分量を気にせずおいしく作れそうで、試してみたくなる。

志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ P13

 シーフードミックスやパイシートなど、冷凍で長期保存できる材料を使ったレシピも、家政婦として、普通の家のありものをご馳走に変身させてきた著者ならでは。シーフードミックスの解凍・茹で方など、失敗しない食材の使い方も解説してくれているので安心だ。そのほか、さといもをレンジで過熱して皮をするっとむく方法や、余らせがちなパン粉の活用法、葉物野菜の色を鮮やかに盛り付けるコツなどのアイディアも満載。シーフードミックスなど、使い道がわからず導入できなかった食材や、皮をむくのがおっくうで避けていた野菜も、我が家の常備食材として取り入れてみたくなるのではないだろうか。

「ドレッシングは酢1:油3」などの便利な黄金比などを発信し、忙しい人にも料理を作る喜びを伝えてきたタサン志麻氏。本書でも、高級スーパーに行かなくても、気合いを入れなくても、いつもの食材でおいしくおしゃれなおつまみが作れることを教えてくれる。本書のレシピを再現していくうちに、ほかの食材で代用したり、好きな野菜を使ってみたりと、自分流のアレンジがしたくなるのではないだろうか。実用的なレシピ集であると同時に、無限に広がるおつまみ作りの楽しさを伝えてくれる1冊だ。

文=川辺美希

あわせて読みたい