脅されて、甘やかされて――!? 意地悪上司×インラン部下のラブ攻防戦『アフター・ミッドナイト・スキン』

マンガ

更新日:2022/8/12

アフター・ミッドナイト・スキン
アフター・ミッドナイト・スキン』(にむまひろ/白泉社)

 コミック配信アプリ(ウェブサイトもあり)「マンガPark」で連載中の『アフター・ミッドナイト・スキン』(にむまひろ/白泉社)が単行本化され、7月29日に1巻が発売された。本書は、リーマンBLという王道でありながら、「脅し甘やかし」という、この作品ならではの魅力が詰まった一作だ。

「ちるちるBLアワード2022官能部門4位」にも選ばれている話題作だが、まだ読んだことがないという紳士淑女のために、その魅力をご紹介したい!

 真面目なサラリーマン・虎谷(とらや)は、ちょっと社畜気味。そんな彼の秘密は「性欲がかなり強いこと」。特定の相手を作らず、マッチングアプリなどで相手を探して、一夜を共にするだけの関係を続けていたのだが、残業続きだったある時、ヤれないストレスから会社のトイレで一人で抜いてしまう。

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 そのソロ情事をなんと、上司の犀川(さいかわ)に聞かれてしまったことから、虎谷の地味なリーマン生活は一転する。口外しない代わりに、自分と寝ることを要求されてしまい、仕方がなく犀川に従うことになってしまうのだ。

 だが犀川の優しく甘く、濃厚なテクニックに、元々性欲の強い虎谷は(身体だけ)メロメロになってしまい……。

 その後も犀川は虎谷に関係を迫り、虎谷は気持ち良さに敗けて、ついに犀川の恋人にまでなってしまう。

 こうして、「こんなやつのいいようにされてたまるか!」と抗う気持ちがありながらも、身体は敏感に反応してしまうという……BLお家芸の一つ、心と身体が一致しない現象が起こり、2人はちょっとおかしな恋人(?)関係になってしまうのだ。

 登場人物の紹介もしておこう。

 虎谷は表向き、平凡なサラリーマンなのだが、実はインラン。ベッドの上では乱れた可愛い姿をこれでもかと見せてくれるギャップタイプ。

 また、犀川の言いなりで、ビクビクするだけではなく、ちゃんと「言うことは言う」ところも好きだ。立場は(脅されている状況なので)弱いものの、それに屈しない「毅然とした強さ」があるのは、受けとしてかなりの高ポイントだと思う(個人の意見です)。

 攻めの犀川は、言動が意地悪だったり、少し何を考えているか分からない一面もあったりするのだが、ハイスペのデキる上司。犀川のおかげで、虎谷の山積みだった仕事が解消されたほどだ。

 こんな美形で仕事面のフォローまでしてくれる上司がいたら惚れざるを得ないのではないだろうか(個人の意見です)。

 また、虎谷への「甘やかし」も最高だ。テクニック含め、虎谷の強い性欲を正面から受け止め、それ以上の快楽をクールにカッコよく与えてくれる。

 実は虎谷には、過去、身体の関係を持った男性たちに、その強すぎる性欲ゆえ引かれてきたというトラウマがあった。しかし犀川にだけは、その自分もさらけだせる。そういったことからも、虎谷は徐々に犀川に心を開く……が。

 1巻のラストでは、ライバルらしき男性も登場しており、虎谷と犀川の関係がどうなっていくのか気になるところ。興味を持った方はぜひお手に取ってみてほしい。

 最後に、お尻の描写がすごくいいです、この作品。

文=雨野裾

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