誰も行ったことがないような海外旅行に憧れる人へ

小説・エッセイ

公開日:2012/11/28

やくみつるの人が行かない世界旅行

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : オリオンブックス
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:やくみつる 価格:616円

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野球好きなら誰もが知っているやくみつる。かつて『がんばれ江川君』を世に出した漫画家です。あの飄々とした線を描く人はどんな文章を書くのかな? という単純な興味から購入。全47ページのエッセイは少々短すぎでファンには物足りないかも。

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著者は40歳で還暦宣言をしたときから、妻と2人でよく旅行に行っているそう。海外旅行も普通のツアーに入らず、あえて危険なところ、人がいかない場所にまで苦労して出かけています。

それにしても、日本の旅行社の商魂はすごい。一面氷の世界に行ったり、ジャングルにゴリラを見に行ったり、好奇心ばかりか冒険心まで満たしてくれそうなツアーが用意されている。本書は、そんなツアーに夫婦で参加したやく氏の、少々大人しい感のある旅行記です。

やく氏はテレビのコメンテーターを務めたり、野球や角界については痛烈批判もおかまいなく放つ人ですが、この旅行記では意外に普通の一旅行者的感覚を持ち合わせていることがうかがえます。世界一寒い村に出かけ、バナナで釘をうつ実験をする姿などほほえましく。ゴリラは「見る」のではなく「面会」しに行くというくだりもおもしろい。

一か八かの勝負事のようなクリスマス島の赤がにの大移動見学ツアーに時間とお金を割くそのスピリッツに、真の好奇心旺盛な子供のようなピュアさを垣間見ます。さらりと書かれたこうしたエッセイを読むと、こういうレアものツアーに簡単に参加できるような気がしてしまいますが、実際は体力的にも精神的にもかなりシビアな旅行なのでは…。一風違った旅行を試みたい人に、おすすめです。


ルワンダなぞ、ツアーでも怖いという印象ですが、実は違うらしい

世界で最も寒い村のツアーでは、認定証も出るそうで