人と人を繋ぐのはおいしいパン!『縁結びカツサンド』に「パン屋巡りがしたくなる!」「縁がつながる素敵な作品」とほっこり反響続出

文芸・カルチャー

公開日:2022/9/2

縁結びカツサンド
縁結びカツサンド』(冬森灯/ポプラ社)

 食の描写に秀でた小説家を発掘するために開催された「第1回おいしい文学賞」にて、最終候補作品まで残った食小説『縁結びカツサンド』(ポプラ社)。2022年8月4日(木)に待望の文庫化となり、読者からは「心に響く言葉がたくさん溢れていました!」「縁がつながっていく素敵な作品!」といった感想が寄せられている。

『縁結びカツサンド』の著者は、同作がデビュー作となった冬森灯氏。それまでに、冬森氏は3度ほど筆を折った経験があるという。「第1回おいしい文学賞」には最後のチャンスだと思って応募し、見事小説家デビューを成し遂げた。

“おいしい描写”が評価されている同作は、「パン生地と女こどもには誠実に」を信条としている男性の手紙から始まる。パン屋を生業としてきた男性は、「和久へ」と手紙を残す。「店は継ぐも継がぬも自由」と書き残されたその手紙は、1年以上過ぎても見つけられないままだった。

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 手紙の存在を知らない和久は、いまだ「ベーカリー・コテン」を継ぐべきか葛藤中。自分なりのパンが見つけられない和久の心情とは裏腹に、「ベーカリー・コテン」には日々愉快なお客さんが姿を見せる。ヒョウ柄のコートを着込んだ占い師や、就活に落ち続ける学生、肉バカの肉屋の息子など、個性的なお客さんたちがパンを通して和久と交流を持つ。人の悩みに寄り添うパンを焼こうとする和久が、辿り着いた一つの答えとは――。

 丁寧に描かれた人との縁や人情で、心が満たされ、食感や匂いが漂ってくるほどリアルな表現にお腹も満たされそうな同作。文庫化直後から温かい感想が続出しており、「単行本と文庫本、どちらも買わせていただきました! 装丁が素敵な本は内容も間違いないですよね!」「冬森先生の『縁結びカツサンド』を読んでいると、パン屋巡りをしたくなります」「婚約者とのすれ違いや将来への焦り、いろんな葛藤を抱えているけれど、美味しいパンはそっと背中を押してくれる。どこからかパンの匂いが漂ってるような、安心できる小説でした」「日常の片隅にある小さな縁の結び目を私も見つけてみたいな、と思いました」といったコメントが上がっている。

 言葉と言葉の繋ぎ合わせだけで、美味しさを表現することは、小説家の腕の見せ所だという。五感を掻き立てる食表現を追求している冬森氏のデビュー作『縁結びカツサンド』にて、心もお腹も満たされてみてはいかがだろうか。

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