美麗なキャラクターが大挙して登場! 横溝正史の日本版『ドラキュラ』に悶絶せよ

小説・エッセイ

更新日:2012/11/30

髑髏検校

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:横溝正史 価格:475円

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今年は『吸血鬼ドラキュラ』の生みの親である作家ブラム・ストーカーの生誕165周年である。誕生日にあたる11月8日にはGoogleのロゴマークがドラキュラ仕様になっていたので、ご覧になった方も多いだろう。

さて、ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』がわが国で初めて訳されたのは1956年とされている。しかし! それに先駆けること約17年、ドラキュラ伯爵は名前を変え、姿を変えて、ひそかに日本文壇に忍びこんでいた! ミステリーの巨匠・横溝正史が1939年に発表した『髑髏検校』がそれである。

絶海の孤島やら江戸にやって来た、謎の怪人・髑髏検校。彼は不死の怪物であり、夜な夜な人間の生き血を求めて、江戸の闇をさまよっていた。それに気づいた学者の鳥居蘭渓は、息子の縫之助とともに検校退治に乗り出すが…というのが本書のストーリー。横溝はストーカーの原典を巧みに翻案し、日本版『ドラキュラ』の世界を見事に作りあげている。髑髏検校がドラキュラ伯爵、対する鳥居蘭渓がヴァン・ヘルシング博士であることは言うまでもないだろう。

では、これが単なる翻案小説なのか、といえばさにあらず。横溝作品が美少年趣味・耽美趣味の宝庫であることは、以前『真珠郎』のレビューでも力説しておいたが、この『髑髏検校』でも思わず陶然となってしまうような耽美幻想の一大パノラマが展開している。口もとを鮮血で濡らし、美女を求めて闇夜を跳梁する髑髏検校の格好いいことよ! ストーカーの原典にも淫靡なエロティシズムが漂っていたが、横溝はそれをさらに押しすすめたのだ。検校の正体にもひと工夫凝らされているのも見どころで(日本史上有名なある人物です)、ラストでは思わずあっと驚かされることになる。さすがはミステリーの大家である。

とにかくこれほど波瀾万丈で、ロマンティックで、面白い物語はそうそうない。美麗なキャラクターが大挙して登場し、残酷劇をくり広げるあたりは歌舞伎にも通じる魅力だろう。少女マンガ、耽美小説、ホラー系のライトノベルがお好きな方なら、大喜びできる作品ではないだろうか。ジョニー・デップ主演の映画『ダーク・シャドウ』を観て、吸血鬼っていいな、と思った方もぜひご一読を。心拍数があがりますよ。


表紙

物語はある奇妙な手記からはじまる

美しい2人の女を従えた、魔人・髑髏検校登場!

孤島を発った検校は、江戸をついに江戸を目指す

白骨が舞い踊るという怪奇趣味あふれるシーンも

同時収録の「神変稲妻車」も波瀾万丈な伝奇ロマン