オタク婚活コンサルタントが伝授する「オタクのための戦略的婚活」

恋愛・結婚

公開日:2022/9/9

オタク婚活はじめます
オタク婚活はじめます』(横井睦智/すばる舎)

 現実世界での恋愛は諦め、2~3次元の推し活に人生を捧げる人も増えてきた。そんな生き方ももちろん素敵だが、もし、心の中に少しでも「誰かと一緒に生きていきたい」という気持ちがあるのならば、手に取ってほしい本がある。

 それが、『オタク婚活はじめます』(横井睦智/すばる舎)。著者は日本で初めてオタク専門の結婚相談所を開業した、オタク婚活コンサルタントだ。

 実は著者自身もオタクで、恋愛で悩んだことがあるという。本書では「恋愛経験がない」「恋に奥手」といった悩みを抱える同士が1年で成婚できるよう、戦略的な婚活法を伝授する。

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 プロフィールの書き方や身なりなど交際前に役立つ情報はもちろん、交際後や結婚準備の際に意識すべきことも毒舌交じりのユーモラスな文体で紹介している。

「1年で婚活を終わらせる」が鉄則の戦略的オタク婚活

 著者が定義するオタクとは、アニメやゲーム、特撮、アイドルなど特定のコンテンツに対して強い愛とこだわりをもって趣味にしている人のこと。

 オタクの良さは1人ひとりときちんと向き合うことで相手に伝わるといい、本書では1対1で勝負でき、仲人やコンサルタントという軍師の力を借りられる結婚相談所でのお見合いを推奨している。

「戦略的オタク婚活」の鉄則は、1年で婚活を終わらせること。著者は恋愛と結婚は別物であると語っており、婚活をする際は恋愛感情に流されず、「一緒に生きていけるか」「幸せな家庭を築けるか」「安らげるか」を相手選びの判断材料にしてほしいと言う。

 本書ではプロフィール作成をする「準備期間」や出会いを得る「お見合い期間」など、各時期に意識すべきことをオタク用語を交えながら解説。

 例えば、お見合いの場合、著者が初対面での服装として勧めるのは「見栄を張ったスーツ」。最初の出会いほど一生の記憶に残りやすく、親への挨拶などさまざまな“見栄を張るシーン”で役立つため、体にフィットし、流行り廃りのないオーソドックスなスーツを1着仕立てておこうとアドバイスする。

 女性の場合は「魔法少女」を意識するのがポイント。なぜなら、魔法少女はボディーラインを見せているため女性らしさが感じられ、フレアスカートやイヤリングなど男性を本能的に惹きつけると考えられている「揺れるもの」を身に着けているから。

 著者によれば、イヤリングは三角形や四角形など一瞬で印象が残る形がおすすめなのだそう。ぜひ、アドバイスを参考に相手に好印象を与えるコツを学んでみてほしい。

なかなかうまくいかない時は婚活を「ゲーム」だと思おう

 真面目な人ほど、婚活がうまくいかないと自己嫌悪に陥ってしまうもの。そんな苦しみから心を守る戦略のひとつとして著者が提案するのは、婚活をギャルゲーや乙女ゲーだと捉えること。

 これは決して婚活を軽視しているのではなく、ギャルゲーや乙女ゲーのように、まずは気軽に色々なタイプの異性と会話し、同じ時間を過ごしてみようという意味だ。

 例えば、どうしても会いたくないという理由がない限り、申し込みを受けた人はできるだけ受け入れることも大切。すると、自分にとって友人に適した人、恋愛に適した人、結婚に適した人などが分かるようになるのだとか。

 また、時には2次元発想で婚活をしていないだろうかと、自分を振り返ることも必要。推しへの愛が強いと、似ている人と出会いたいと思うこともあるが、婚活の場では「妥協と妥当」の折り合いをつけ、結婚相手を選ぼうと著者は言う。

 その際に役立つのが、「エンジェルノート」「デスノート」「分析ノート」と名付けた3冊のノート。

エンジェルノート…交際相手のいいところや素敵なところ、交際中の嬉しかったことなどを書く
デスノート…交際相手の嫌なところや交際中に感じた負の感情を書く
分析ノート…具体的な交際の記録、相手の考え方、学歴・年収などのスペックを書く

 より合理的に婚活を進めたい場合は、子どもの頃の自分や望む未来など、自身を深く掘り下げる「婚活ノート」も用意。こうすることで、選ぼうとしている人が自分にとって「妥当」なのか「妥協」なのかが見えてくるという。

オタ活に注いでいる情熱を婚活にも注ぐことができれば、必ずやオタクは婚活で成功するでしょう。オタクだから結婚できないのではなく、オタクだから結婚できるのです。

 この言葉に背中を押される人も多いはず。本書にはマッチング相手にオタクをカミングアウトするタイミングや、親という“ラスボス”に挨拶をする時のマナーなども収録。ぜひ手に取り、パートナーという身近な推しも見つけてはどうだろう。

文=古川諭香

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