ただ睡眠時間を増やすだけではNG! 仕事や家事育児のすきま時間にできる”眠りの質”が高まる習慣を伝授
公開日:2022/9/17
最近、あまり熟睡できていない気がする。睡眠時間はしっかり確保しているのに、なぜか疲れが取れない。歳を重ねると特にそんな悩みに苦しめられることも。
だが、『パフォーマンスを劇的に変える!快眠習慣』(松本美栄/自由国民社)を手に取れば、解決のヒントが見えてくるかもしれない。
本書では、睡眠セラピストである松本氏が短い時間でも効率的に質の高い睡眠を取る方法を解説。満足できる睡眠を取るには睡眠時間だけでなく、睡眠の質を高めるセルフケアをしていくことが大切だという。
一般的に快眠というと夜の「寝つき」や朝の「目覚め」に気が向きがちだが、実は日中の過ごし方も夜の睡眠に繋がっているという。本書では朝、昼、夜の1日を通して快眠に繋がる習慣を解説しているが、この記事では見落としがちな「夜よく眠るための日中の過ごし方」を紹介していこう。
ながら作業やマルチタスクは睡眠の質を下げる原因に
日中は仕事や家事、育児が忙しいため、セルフケアをすることは難しそうに思えるだろう。だが、過ごし方や仕事のこなし方を少し変えるだけでも夜の睡眠の質は変わるという。例えば、ながら作業やマルチタスクをシングルタスクに変えることも、夜の快眠への第一歩となる。
ながら作業をしている時は目の前の仕事とその他のこととの間を意識が行き来しており、意識の往復をする際に脳では直前に行っていた作業を思い出すという処理がなされ、タイムロスが発生しているという。
見た目には複数の仕事を同時にこなしているように見えるが、脳の中では短時間でタスクを切り替える「タスク・スイッチング」という処理が行われているだけなのだとか。
こうしたマルチタスクで脳に負荷がかかると、脳疲労が蓄積されて睡眠の質が下がる原因になると指摘。そこで、脳が疲れないよう、メールやチャットは決まった時間にまとめて対応したり、タスクはリストアップして優先順位の高いものからひとつずつ取り組むようにしたりと、シングルタスクを心がけていくことが大切だ。
また、可能であれば、起床後6~7時間後に「パワーナップ(積極的仮眠)」を取ることを推奨している。人間の体は起床後8時間ほどすると眠気がやってくるため、その前に仮眠を取るのがポイントだ。
30分以上だと眠りが深くなりすぎて覚醒しづらくなるので、仮眠時間は15~30分がおすすめだが、パワーナップは完全に眠らなくても大丈夫。リラックスして目を瞑るだけでも効果があると解説する。
姿勢は椅子に座ったまま、もしくはクッションなどを使って机に伏せる形でOK。スッキリ目覚めたい方はパワーナップ前にコーヒーや紅茶を摂取しよう。すると、含まれているカフェインの覚醒効果がちょうど仮眠終了のタイミング(20~30分後)くらいで効いてくるそうだ。
オフィスでも可! 日中の隙間時間にできる「リンパマッサージ」
質のいい睡眠を取るにはリンパのセルフケアも大切であるという。
デスクワークのような長時間の同一姿勢やストレス、運動不足などによってリンパの流れは滞る。睡眠中は副交感神経の働きによって血圧が下がるため、リンパは流れやすくなるが、リラックスできていないと交感神経が優位に働き、リンパの流れが悪くなり、眠っても疲れが取れなくなってしまうとか。
そこで、本書はオフィスでもできる簡単リンパマッサージを紹介している。
〈頭・顔周りのリンパマッサージ〉
まず、左の鎖骨上を右手の四指全体で胸の中心から肩先に向かってさする。右の鎖骨上も同様に、左手でさする。次に首は、手を軽く握り、四指の第2関節で優しくさする。これで準備はOK。そのあとはイラストを参考に顔をマッサージしてみよう。
①おでこから眉上を通って、こめかみに向かって流す。
②顎下からフェイスラインを通って耳の下へ流す。
③耳の下から胸鎖乳突筋に沿って鎖骨に向かって流す
④頭頂部から後頭部を通ってうなじへと流す
マッサージをする際は、肌を傷めないようにオイルやクリームを塗布しよう。また、腰回りや足のむくみを防ぐリンパマッサージも解説しているので、そちらも要チェックだ。
本書との出会いを機に、日常の行動を少し変えることで睡眠の質を高め、仕事はもちろん、家事などでよいパフォーマンスができる自分を手に入れてみてはいかがだろうか。
文=古川諭香
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