BOOK OF THE YEAR 2022投票スタート!去年のコミック部門を振り返る——大団円を迎えた作品に、大台に乗った作品……。2021年のランキングは新旧入り乱れる結果に!
更新日:2022/9/13
『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票がいよいよスタート! ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。ここで改めて、2021年の「コミック」部門にどんな本がランクインしたのか振り返ってみることにしよう。
2位『ミステリと言う勿れ』田村由美
3位『ONE PIECE』尾田栄一郎
4位『呪術廻戦』芥見下々
5位『ゴールデンカムイ』野田サトル
6位『女の園の星』和山やま
7位『きのう何食べた?』よしながふみ
8位『進撃の巨人』諫山 創
9位『東京卍リベンジャーズ』和久井 健
10位『名探偵コナン』青山剛昌
11位『SPY×FAMILY』遠藤達哉
12位『怪獣8号』松本直也
13位『【推しの子】』赤坂アカ×横槍メンゴ
14位『大奥』よしながふみ
15位『キングダム』原 泰久
16位『ぼくのお父さん』矢部太郎
17位『葬送のフリーレン』山田鐘人:原作、アベツカサ:作画
18位『ハイキュー!!』古舘春一
19位『薬屋のひとりごと』日向 夏:原作、ねこクラゲ:作画、七緒一綺:構成、しのとうこ:キャラクター原案
20位『ちはやふる』末次由紀
21位『詩歌川百景』吉田秋生
22位『よつばと!』あずまきよひこ
23位『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』泰 三子
24位『ブルーピリオド』山口つばさ
25位『ゆるキャン△』あfろ
26位『約束のネバーランド』白井カイウ:原作、出水ぽすか:作画
27位『転生したらスライムだった件』伏瀬:原作、川上泰樹:漫画、みっつばー:キャラクター原案
28位『宇宙兄弟』小山宙哉
29位『ルックバック』藤本タツキ
30位『メダリスト』つるまいかだ
31位『アオのハコ』三浦 糀
32位『夏目友人帳』緑川ゆき
33位『乙嫁語り』森 薫
34位『僕のヒーローアカデミア』堀越耕平
35位『双亡亭壊すべし』藤田和日郎
36位『ポーの一族 秘密の花園』萩尾望都
37位『チ。―地球の運動について―』魚豊
38位『うるわしの宵の月』やまもり三香
39位『憂国のモリアーティ』コナン・ドイル:原案、竹内良輔:構成、三好 輝:漫画
40位『ハニーレモンソーダ』村田真優
41位『かげきしょうじょ!!』斉木久美子
42位『魔入りました!入間くん』西 修
43位『チェンソーマン』藤本タツキ
44位『ワールドトリガー』葦原大介
45位『ジョジョリオン』荒木飛呂彦
46位『スキップとローファー』高松美咲
47位『消えた初恋』アルコ:作画、ひねくれ 渡:原作
48位『北北西に曇と往け』入江亜季
49位『末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸ガンになる』ひるなま
50位『図書館の大魔術師』泉 光:画、ソフィ=シュイム:原作(『風のカフナ』濱田泰斗:訳)
「みんな自分ではない誰かのために闘い、不滅の想いが集結しての大団円にボロ泣き」(40歳・女)、「最後まで泣かされた!」(54歳・女)。このようにそのラストに涙し、それ以上に祝福するような声が殺到した。そう、2020年に引き続き、2021年のランキングでも見事1位を獲得した『鬼滅の刃』へのコメントである。2020年に巻き起こった鬼滅ブームが一過性のものではなかったのは周知の通り。2021年に入っても「無限列車編」「遊郭編」と続けてテレビアニメ化され、原作が完結してもなお、作品へのボルテージは上がり続けていた。
2位の『ミステリと言う勿れ』は2020年の5位から順位を上げた。理屈っぽい大学生・久能整が取り留めもないことを喋っているうちに、難事件を解決してしまうという異色のミステリーだ。どこか時代を風刺するような名言がちりばめられているのも特徴的。なにより本作の人気を押し上げたのは、実写映像化のニュースだろう。2022年1月より“月9”でドラマが放映され、予習も兼ねて本作に手を伸ばした読者も少なくないことと思う。
映像化を機に注目を集めた作品といえば、9位の『東京卍リベンジャーズ』も外せない。2021年はテレビアニメの放送と実写映画公開が続き、その知名度は急上昇。2020年の圏外から、一気にランキング上位に現れた。それはもちろん、作品自体に魅力があるから。ヤンキー×タイムリープというありそうでなかった組み合わせの斬新さが、多くのマンガ好きの心をしっかりと掴んだ。
また、常連組も負けていない。特筆すべきは3位の『ONE PIECE』、10位の『名探偵コナン』だ。どちらももはや説明不要なほど大人気の国民的マンガだが、ともに100巻に到達したのが感慨深い。“ひとつなぎの大秘宝”を目指す海賊団と、“たったひとつの真実”を求める名探偵の旅路は佳境を迎え、その面白さはますますヒートアップ。子どもの頃から読み続け、作品とともに大人になったという読者も少なくない。新陳代謝の激しいマンガ業界において、いまだにトップランカーであり続ける両作には心からの拍手を送りたくなる。
コロナ禍を反映してか、“心温まる物語”への支持も目立っていた。16位『ぼくのお父さん』、21位『詩歌川百景』、46位『スキップとローファー』などはまさに読んでいて癒やされる作品だ。どんなに疲れていても、読むだけで元気になれる。そんなマンガがある人生は、控えめに言っても幸福だろう。
文=五十嵐 大
※この記事は『ダ・ヴィンチ』2022年1月号の転載です。