最近落ち込みやすいのは「うつ感情」のせいかも? ネガティブな気持ちとうまく、ゆるく付き合うためのトリセツ

暮らし

公開日:2022/9/14

自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ
自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ』(中島輝/きずな出版)

 人の感情には浮き沈みがあるもの。前向きでやる気に満ちているときもあれば、どんよりと落ち込むときもあります。しかし、最近ネガティブな気持ちでいる時間が増えた気がする……と、そんなふうに感じてはいないでしょうか?

 ここで紹介する『自己肯定感が高まる うつ感情のトリセツ』(中島輝/きずな出版)によれば、今の社会は、誰しもがいつも以上に落ち込みやすくなる状態なのだといいます。終わりの見えない世界的なパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻、我が国でもショッキングな事件が起きました。不安や恐怖を抱え、新型コロナウイルスにより生活様式も変わり、そのうえネガティブなニュースばかりが目に入ってくる……。こんな状況では気持ちも塞ぎがちになり、マイナスな考え事が増えてしまうのも無理はありません。

 心理カウンセラーの著者・中島輝氏は、私達が抱えている「ストレス以上、うつ病未満」のネガティブな感情を、「うつ感情」と名付けました。うつ感情を抱えた心は、たとえるならば木や草が生い茂った森のような状態です。本来であれば、木は木、川は川、山は山、というように、どこに何があるかが分かるはず。しかし、草木という名の「うつ感情」により、うっそうとした状態になってしまっています。この草木を取り除いて森を整理していくためのトリセツが、本書というわけです。

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 ページをめくると、家電などの説明書で目にする、よくあるトラブル&その対処法が、たくさん書かれています。たとえば、「明日、会社に行きたくないと思ったとき」「考えすぎて寝られないとき」「ぜんぜん集中できないとき」など、ありとあらゆるネガティブな気持ちに寄り添ってくれているのです。

 筆者もコロナ禍以降、なにかと悩みが尽きずに気分が晴れないときが増えた1人。そこで、「悩みがずっと消えないとき」のページを読んでみることにしました。実は、人はうつ感情にとらわれると、自分の悪い点や過去の失敗に意識が向きがちになってしまい、なかなか抜け出せなくなる生き物なのだとか。家電の調子が悪いときも「こういう構造の機械なので、こういう状況になると故障する」と説明してもらえると納得しやすいですが、それはメンタルの不調も同じこと。心の仕組みとうつ感情の正体を教えてくれるので、その後の対処法もすんなりと腑に落ちます。

 ちなみに、「悩みがずっと消えないとき」のうつ感情の取り扱い方はとても簡単です。「ま、いっか」と心のブレーキをゆるめてあげるだけ。こうすると、悩みを引きずってブレーキをかけていた心が動かしやすくなっていくのだとか。実際、寝る前にあれこれ悩みすぎてしまった夜に「ま、いっか」という言葉を口に出して思考を切り替えると、少し気持ちが軽くなりました。

 本書ではこのほかにも、あらゆるモヤモヤの“取り扱い方”が説明されています。自分の中のうつ感情に気づくことは、うっそうとした心の状態を整理するための第一歩。「最近落ち込みやすいかも……」なんて感じている人は、ぜひこの本を手がかりに、前向きな未来へ進んでいってください。

文=ますだポム子

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