結末は予測不可能!? 裏の顔を持つ先生と“普通”じゃない生徒との攻防…『二木先生』に絶賛の声!「とんでもない物語に出会ってしまった」

文芸・カルチャー

公開日:2022/9/15

二木先生
二木先生』(夏木志朋/ポプラ社)

 2019年ポプラ社小説新人賞を受賞し、多くの読書の心を抉った小説『ニキ』を改題した文庫版『二木先生』が、2022年9月6日(火)に発売された。選考会で満場一致という快挙を遂げた作品は、一体どのようなストーリーなのだろうか。

 どうしたら普通に見えるんだろう、どうしたら普通に話せるんだろう…。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない、クラスの中で普通に息さえできたなら――。

 そのために、むかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子どもらしくない」と言われれば見よう見まねで“子どもらしく”振る舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮いてしまい、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。

advertisement

 生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンターテインメントが繰り広げられていく。

 冒頭部分では、田井中が美術の授業中に「出たよ、田井中の自己アピール」「うわ、田井中スイッチ入った。キモ」とバカにされる様子が描かれ、それだけでも共感性羞恥を覚えてしまう。のっけから強烈なパンチを受けたような気分になるだろう。二木先生はそんな田井中と対話をするが、その後も田井中は男子生徒からからかわれるシーンへと続く。

 読者からも、「高校の課題図書にしてもいいくらいのスーパーウルトラミラクル超絶傑作青春小説」「感動した。これがデビュー作と知って戦慄」「先の読めなさといったら、一級のミステリー並み。展開の巧さや筆の置き方は、とても新人のデビュー作とは思えない」「2人のやりとりが最高に面白い! 読みやすい文章で最後まで一気に読めた」「今まで出会ったどの小説よりも面白く読み終わった。異質なことを扱っているようで、とても共感できる」と絶賛の声が溢れている。

 ちなみに、作者のツイートによると同書は発売日の翌日に重版が決定したようだ。

 秋の夜長に、「このイタさもヤバさも身に覚えがある」「とんでもない物語に出会ってしまった」と評される作品に触れ、心が震えるような感覚を堪能してみるのもいいかもしれない。

あわせて読みたい