妻が怖くて仕方ない…家庭の決定権は妻が持つ時代に! 立場の弱い夫が円満な夫婦生活を送るための実践プロセスとは?

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公開日:2022/9/30

妻が怖くて仕方ない DV、借金、教育方針、現代夫婦の沼に迫る
妻が怖くて仕方ない DV、借金、教育方針、現代夫婦の沼に迫る』(富岡悠希/ポプラ社)

 はたからは順風満帆に見えても、仲たがいしている夫婦は確実に存在する。書籍『妻が怖くて仕方ない DV、借金、教育方針、現代夫婦の沼に迫る』(富岡悠希/ポプラ社)は、妻の借金やDVに苦しめられた経験を持つジャーナリストの著者が、自身の経験を原点に、現代社会の“結婚”にまつわる実態へ迫ったルポルタージュだ。

 夫が主導権を握る「亭主関白」の家庭はもはや過去のもので、現代は「弱者夫」が妻に怯える社会になりつつある。本書では、関連する以下の統計が紹介されている。

 社会や個人の意識を反映し、もはや夫は家庭で「力」を失いつつあることを示すデータもある。博報堂生活総合研究所は88年から10年ごとに、サラリーマン世帯の夫婦のアンケートによる「家族調査」を実施している。その中で「家庭の総合的な決定権」をどちらが持つか聞いている。88年に夫72・4%、妻10・1%だったのが、18年には夫38・7%、妻30・3%となる。夫の急落、妻の急上昇ぶりからすると、次の28年調査では逆転していそうだ。(『妻が怖くて仕方ない  DV、借金、教育方針、現代夫婦の沼に迫る』p39)

 夫と妻の力関係について、その是非を決める必要はない。しかし、結婚に伴う価値観は確実に変わりつつある。

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 例えば、かつては「夫から妻」という構図が連想されていた、家庭内暴力の問題「ドメスティック・バイオレンス(DV)」の統計にも変化が見られる。これに関連して、本書で言及しているのが警察庁による22年3月発表の「令和3年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」の調査結果だ。

 全国の警察が同年受理した配偶者などパートナーからのDV相談は、前年比0・5%増の8万3042件。03年から18年連続で増加している。この発表では、被害者の性別データもある。21年だと男性の相談割合が25・2%、女性が74・8%。実に被害者の4人に1人が男性だ。過去5年間で比較すると、17年の17・2%から一貫して右肩上がりとなっている。(p137)

 DVの原因となるのは、日常のささいないざこざだ。本書で例示されている「カレーに福神漬がついてない、とんかつのソースが出てこない」といった言い合いで喧嘩に発展、やがて、DVへ繋がる結婚生活の光景はたやすく想像できる。こうした事態を回避するためには、夫から妻へ「愛」を伝えるのが必要だ。本書では、以下の方法が紹介されている。

1 言葉 「愛している」と口に出す
2 サービス(実践) 相手がして欲しいことを速やかにする
3 クオリティタイム 一緒に旅行に行くなどして共に過ごす
4 スキンシップ 手をつないだり抱き合ったりする
5 誕生日や結婚記念日に贈り物などをする

 じつは、本稿を担当する筆者も既婚者かつ夫の立場で、日常的な妻との口喧嘩に悩まされている1人だ。ちょうどそのタイミングで本書を読んだのだが、筆者自身は忙しさを理由に、すべてのプロセスをおろそかにしていたと痛感させられた。

 ここで取り上げたのは「DV」に関する話題であったが、本書ではこの他にも、夫婦間にある「借金」や「教育方針」の食い違いなどの問題へ鋭く切り込んでいる。夫婦関係は表から見えにくいため、誰かへ相談しづらいというジレンマもある。だからこそ、著者の経験にもとづく本書が深く心に突き刺さるのだ。

文=青山悠

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