選挙前こそ読んで考えよう。都知事選候補自身が「いま」を語る1冊

PHP研究所

2012/12/9

解決する力

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : PHP研究所
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:猪瀬直樹 価格:720円

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数年前、NHKの大河ドラマでやっていた『篤姫』の中のセリフ、「一方聞いて沙汰するな」というのが、なんだかずっと記憶に残っている。読んで字の如く「片方の意見だけ聞いて判断するな」という意味だが、これってほんとにいろんな面での基本姿勢で、時折なんかの拍子に脳内再生されるのだ。たとえば3.11以降、新聞やテレビに「だまされないぞ!」とばかり、ネット情報も探って事実に迫ろうとする人が増えてきたが、その姿勢もこのセリフ的っちゃあセリフ的。今の時代、どんな「落とし穴」があるかわからないから、いろいろな面から総合的に判断するのが身を守る術にもなる。

と、前フリが長くなったが、私が猪瀬直樹氏の新刊を手にとったのも、上のような気持ちから。前知事・石原慎太郎氏の片腕として活躍してきた猪瀬氏だが、石原氏の押し出しが強烈すぎて、正直、氏がどんなことをやってきたのか、あんまり知らなかった…(すみません)。とはいえ、いよいよ都知事選が公示され、いまや猪瀬氏は最有力候補。この際、石原都政の是非はおいといて、というか相変わらず石原パワーの影響が強いからこそ、都民としては氏自身をフラットな視点で知っておかねば、と思ったわけだ。なにせ「本人発」というきわめつけの一次情報だから価値も高いし。

さて本だが、内容としてはとってもタイムリー。原発問題、尖閣諸島問題、オリンピック誘致問題と、現在、国政レベルで問題になっている各テーマについて、都政の中で猪瀬氏はどう思考し、どう具体的に行動してきたのか、理念ではなく「行動」ベースで示している。はっきりしているし、なによりわかりやすく、理論派であり実践派である氏の勢いがよく伝わってくる。既成概念にとらわれず柔軟に思考し、できるかぎり具体的に追い込んだプランに落とすことで、難問も解決への糸口がみつかるというのは勇気の出る話だ。

       

ただ、残念なのは書き下ろしではなく、全編がまるごと最新の雑誌やWebなどへの寄稿文で編まれていること(ほとんどが今年の夏以降の初出)。これまで多くの重厚なルポルタージュを出していることを考えると、かなり「やっつけ仕事」的ではあるが、おそらくタイムリーさと多忙さの天秤で「出さないより出したほうがプラス」との決断なのだろう。実績を示すことこそが安定した支持につながる、と考えたかどうかはわからないが、たしかにその「行動力」は、まさに「解決する力」全開というところか。

            

いろいろ難問山積な時代だけに、なるべく自分で「考える」ためのネタは多いにこしたことはない。その意味では、こういう本を読むのもアリだろう。


「はじめに」より

「目次」より その1 はじめは最もタイムリーな話題から

「目次」よりその2 原発、尖閣、オリンピックのほかにもこんなテーマが

「目次」よりその3 全部で6章23項目 なおエピローグは雑誌インタビュー

「本文」より