5万円分のアイディアは無料配布! フワちゃんのYouTubeの立役者が、メディアを席巻するためにやったこと

ビジネス

公開日:2022/12/5

それぜんぶ企画になる。 うしろだてのない放送作家が新しいエンタメで世を沸かす20の方法
それぜんぶ企画になる。 うしろだてのない放送作家が新しいエンタメで世を沸かす20の方法』(長﨑周成/左右社)

 YouTubeの登場で、エンターテインメントの形は大きく変化した。YouTuberは広く国民に知られる存在となり、YouTube動画を作るにあたって、構成作家がついていることも増えた。

それぜんぶ企画になる。うしろだてのない放送作家が新しいエンタメで世を沸かす20の方法』(長﨑周成/左右社)は、テレビとYouTubeのどちらでも活躍するフワちゃんのチャンネル「フワちゃんTV」の立役者である放送作家・長﨑周成氏の書いた本である。

 著者自身も地上波テレビからNetflixまで横断する売れっ子。楽しみながら自分の力で仕事をとり、完遂するためのジョブ論と、自身のバックグラウンドを語るエッセイの2本立てだ。

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平成生まれの底力。仕事をする人に刺さる仕事論

 91年生まれ、30代前半にして、ひっぱりだこの放送作家。元芸人で、師匠などのうしろだてがない。下積みを通じてイチから築き上げてきたというジョブ論は、エンタメの世界という特殊性はあれども、仕事をする人がハッとするアイディアに満ちている。

 なにかに熱中しきれない、当人いわく「沼れない」人だそうだが、反面、俯瞰する広い視野と分析力は凄まじい。特に「人生を1秒でルート変更する強さを持つ」という部分は、今仕事や自分自身のことで悩む人にきっと刺さる。

「別のルートを探す」=「夢を諦める」とはまた違います。

「隣のレーンを見るタイプ」で、常に別のレーンを意識した上で人生を切り開く著者の柔軟性としなやかな発想は、夢に固執して動けなくなってしまった人の参考になるだろう。

 当人は泥水を飲んできた日々があり苦労したと書いているが、やはりとてもうまくいっている印象だ。ただし、読み進めていけば、それはうまくいくように心がけ、時には歯を食いしばり、分析し積み重ねているからだとわかってくる。

 例えば、本書のジョブ理論⑬では「5万円分のアイディアは無料配布」とある。惜しみなく提供し、打ち合わせに時間を割いた相手に、「5万円分ぐらいの価値があった」と思わせるのだそうだ。そんな姿勢で仕事に臨んでいる人には、きっと仕事を頼みたくなる。

 

フワちゃんとのアツくて楽しい友情&仕事関係

 後半は「フワちゃんTV」に関して綴られている。フワちゃんとの対談もあるが、読むと本当に良い友達なのだろうと伝わってくる。初めて会い、YouTubeできっと成功すると思ったからといって、バイト先がつぶれて収入がゼロだったフワちゃんに、月々かなりの額を貸していたというのだから恐れ入る。

 出会いを大切にし、友達を信じ、共に仕事を作り上げる。シンプルだが、これがなあなあにならず、楽しく仕事できるコツなのかもしれない。

 

「新時代の生き方」を示す新時代の放送作家

 こうやって生きている人がいるのかと誰もが驚くような、新時代の放送作家である著者。しかしその道の作り方は、意外と我々でも真似できることの積み重ねで成り立っている。

 道の歩き方、ゴールの選択肢は、いろいろある。道がなければ作ればいいのだ。この本は、常識に縛られがちな私たちの頭を、柔らかくしなやかにほぐしてくれる。

文=宇野なおみ

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