歌舞伎役者の男前2人がひとりの女子に思いをぶつける熱血恋愛少女コミック

コミック

2012/12/12

ぴんとこな (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:嶋木あこ 価格:432円

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日本固有の伝統芸能のひとつである歌舞伎。教育界では、小中高校の新学習指導要領(高校は平成25年度入学生から実施)で「伝統や文化に関する教育の充実」が掲げられており、教科をまたいだ横断的な取り組みがなされています。全国的な伝統教育熱の高まりの中、地域などでも子どもが歌舞伎を観たり演じたりできる機会や場が増えてきているのをご存知でしょうか。

本作は、歌舞伎を題材にした熱血恋愛少女コミック。歌舞伎役者の男子2人が、ひとりの女子高校生を巡って三角関係を築きます。

主人公は、歌舞伎の名門・木嶋屋の御曹司である河村恭之助(本名は河村 猛)。家柄が重んじられる歌舞伎の世界で、名門・容姿バツグン・歌舞伎の才能も申し分なしという、まさに反則的人物。しかし、厳しい父親に認められず、芸への意欲を失っています。思いを寄せる千葉あやめとは同じ高校に通学。

そんな恭之助のライバルは、歌舞伎の家の出身ではない“門閥外”の澤山一弥(本名は本郷弘樹)。芸に対して真剣。努力の重ねで実力を備え、人気が出始めています。あやめとは幼なじみ。正反対の2人は切磋琢磨しながら、役者としても男子としても成長していきます。

ちなみにタイトルの「ぴんとこな」は「男らしく芯のある2枚目」の意味を持つ歌舞伎用語。歌舞伎って、熱いんです。

人気歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが12月5日に57歳という若さで亡くなりました。歌舞伎はしきたりや稽古が厳しい世界。中村勘三郎さんは3歳で初舞台を経験し、成功した「天才少年」でしたが、父になると自身が受けたように息子である勘九郎さんにも厳しい稽古をつけたことが知られています。

ただし、厳しいだけではなく、子どもを理解しようと努めた。芯のある厳しさと優しさ、そして父親という男らしさを兼ね備え、1991年に「ベストファーザー賞(イエローリボン賞)」を受賞しています。また、息子の勘九郎さんも、そんな父の芯を受け継ぎよき父に。2012年に同賞を受賞して、親子2代で“素敵なお父さん”に輝いているのです。芯のある男らしさは、世代を伝わっていくのですね。

歌舞伎を通して、本作の主人公・恭之助が役者に留まらずどのように人間として“芯がある男”として成長していくのか。そして、反発している父親とどう向き合うようになっていくのか、このあたりも2巻以降の見どころ。専門用語など歌舞伎を知る伝統教育のテキストとしても活用できます。

「第57回小学館漫画賞少女向け部門」受賞作。


本編の前に、登場人物紹介だけでなく歌舞伎用語集が付けられている親切さ。上は主人公の恭之助

門閥外の一弥

舞台本番でやる気のない芸を見せる恭之助

恭之助は、自分の芸の甘さをあやめにズバリと言い当てられ、動揺する

父親に認められず、反発する

一弥の芸を見た恭之助の目には…

このように映る
(C)嶋木あこ/小学館