「予想を裏切る面白さ」――“秘密”を抱える高校生ふたりの、切なく胸に突き刺さる青春小説が、待望の文庫化!

文芸・カルチャー

公開日:2022/12/9

ふたり、この夜と息をして
ふたり、この夜と息をして』(北原一:著、神木隆之介:写真/ポプラ社)

 繊細な少年少女の心を丁寧に描き、第9回ポプラ社小説新人賞の特別賞に輝いた『ふたり、この夜と息をして』(北原一:著、神木隆之介:写真/ポプラ社)。その文庫版が2022年12月6日に発売された。ポプラ社小説新人賞の選考委員をうならせた、青春小説の内容とは――。

 同書が初めて刊行されたのは、今から約2年前の2020年10月のこと。切なく胸に突き刺さる物語は、著者・北原一氏のデビュー作として大きな注目を集めることに。読者からも「繊細で独特な表現力溢れる文章に何度もハッとさせられた」「予想を裏切る面白さに引っ張られて思わず一気読み。それだけの魅力がある」「圧巻のひと言に尽きる」「多くの人にぜひ読んでもらいたい一冊」などと好評の声が上がり、重版がかかるほどの人気を博していた。そんな同書がこのたび待望の文庫化を果たした。


 物語の中心となるのは、心に傷を負い、“秘密”を抱えて生きる少年と少女。男子高校生・夕作(ゆさ)まことは顔に痣があり、それを隠すために普段から化粧をして生活していた。そのことが周囲にバレるのを恐れ、誰ともかかわらずに平坦な日々を過ごしていたのだが…。

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 ある日、新聞配達のアルバイト帰りに公園でタバコを吸っているクラスメイトの女子生徒・槙野を目撃する。不良でもない槙野がタバコを吸うのには何か理由があるらしいが、この出会いがきっかけで彼女もまた夕作が化粧していることに気づいてしまう。

 ひょんなことから互いの“秘密”を知り、共有することになった2人。果たして彼らの出会いは何をもたらすのか、傷を隠して生きる2人の行き着く先は? ここから感動の青春物語が幕を開ける。

 物語の内容もさることながら、ぜひ表紙のカバー写真にも注目しておきたいところ。同書のカバーに使われている写真は、2020年に単行本が刊行された際に俳優の神木隆之介さんが撮り下ろしたもので、夕作と槙野が出会った「夜の公園」がモチーフとなっている。帯には「こんなにも、切ない秘密があるのだろうか」とコメントを寄せていた。

 2人の秘密には、いったいどのような切なさが込められているのか。物語の全容が気になる方は、文庫になったこの機会に読んでみよう。

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