大人気絵本「バムとケロ」シリーズの大人も子どもも楽しめる魅力

文芸・カルチャー

公開日:2023/1/2

バムとケロのにちようび
バムとケロのにちようび』(島田ゆか/文渓堂)

 最近寒くて子どもと公園に行くのもつらい……。そんなときのおうち遊びにおススメの絵本が「バムとケロ」シリーズ(島田ゆか/文渓堂)です。全5冊、そして関連作品も2冊出版されていてボリュームがあり、絵本好きの中では知らない人がいないほどの人気シリーズ。その大人も子どもも夢中になる魅力を紹介します。

とにかく絵がかわいい!

「バムとケロ」シリーズの一番の特徴といえば、もちろん絵のかわいらしさ。本作の物語は、犬のバムとかえるのケロが過ごす一日を描いたり、おでかけで買い物に行く様子を綴ったりと至ってシンプル。しかしその物語の本筋ではまったく触れられていないところで、さまざまな出来事が起きているのです。

 例えば『バムとケロのそらのたび』では、せっせと飛行機を作るバムの横で、ケロちゃんはペンキで落書きしたり、お尻が接着剤にくっついて取れなくなってしまったり。いざ飛んでからもりんごを落としてしまったりと、そのかわいらしい行動に目が離せません。絵だけを見ても充分楽しめるので、まだ字が読めない子どもも夢中になれます。我が家の息子たちも、小さい頃から本シリーズが大好き。『ここで○○になってるね』と絵を見て会話しながら読むと、次回はそれを覚えていて「ここでは○○になってる!」と繰り返し、どんどん読む時間が長くなることも……(笑)。それくらい、どんなお子さんも集中して読める一冊と言えます。

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よく見ないとわからない 大人も夢中になる仕掛けがたくさん

 本シリーズには、一度登場したアイテムが他の本で再登場したり、よく見ないとわからない仕掛けがあったりと楽しい発見がたくさん。「あ、このおもちゃって前に……」「ここよく見ると……」。ここですべてをお伝えすることはできませんが、細部にわたる書き込みには驚くことばかりです。子どもは気に入った本を何度も繰り返し読みたがり、「読み終わった…」と思うとすかさず「もう一回!」とせがんでくることもしばしば。そんなときでも「バムとケロ」シリーズなら、親である私自身も飽きずに読め、途中で「ここでケロちゃんこんなことしてるね」なんて話しかけて変化をつけることもできました。大事な時間とわかっていても、毎晩毎晩で、時々苦行になる絵本の時間を、大人も楽しむことができる素敵なシリーズなのです。

ファンに向けたレシピ本も

 すっかり「バムとケロ」ワールドのとりこになったら、もう一冊おすすめなのが『バムとケロのおいしい絵本』(島田ゆか/文渓堂)。『バムとケロ』にはみんなで食卓を囲むシーンが多く、おいしそうな食べ物たちもたくさん登場します。本書はそんな作中に登場した食べ物を実際に作ることのできるレシピ本。ふたりの大好物のドーナツから、おじいちゃんの家で食べたバースデイパーティーのメニューまで、さまざまなレシピが絵本の場面と併せて紹介されます。バム・ケロ・おじぎちゃんの顔を描けるステンシルプレートも付属されているので、親子で作れば盛り上がること間違いなし!

 ハマればハマるほど楽しい「バムとケロ」ワールド。ぜひ目を凝らして読んで、親子の冬の時間を楽しんでください。

文=原智香

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