選挙特番も断トツ面白かった池上彰に学ぶ「池上学概論」
更新日:2012/12/21
この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう ― 池上彰教授の東工大講義世界篇
ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader | 発売元 : 文藝春秋 |
ジャンル:ビジネス・社会・経済 | 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy |
著者名:池上彰 | 価格:1,296円 |
※最新の価格はストアでご確認ください。 |
池上さんの本です。最近の池上さんと言えば、先日の衆院選の特番で話題になっていましたよね。私もあの晩はテレビ東京を見ていましたが、池上さんの鋭さにドキドキしたものです。さて、ご紹介する本書は、そんな池上さんが2012年から受け持っている東京工業大学の講義録です。
担当しているのはいわゆる教養科目。理科系の最高峰に位置する同大学の学生たちに、社会科学的な教養を身につけてもらうことが講義の目的です。
扱われるテーマは、国際情勢、憲法、経済、宗教、メディア、アメリカ、北朝鮮…など。実に多彩です。
たとえば、国際情勢を取り上げた2回目の講義。領土の問題を取り上げるテキストとして、世界各国の地図を使用します。東アジア付近を指して「極東」と呼ぶのはなぜなのか。それは英国から見て日本や東アジアが東の端っこにあるから。イランで使われている世界地図にはイスラエルがない。それはイランがイスラエルを国家として承認していないから。中国の世界地図では、北方領土が日本の領土として色づけられている。それを理解するキーワードは「敵の敵は味方」だ…。その先は本書を読んで確認してみてください。
この他にも「大統領と首相はどう違うのか?」というテーマもあれば、「君が日本の技術者ならサムスンに移籍しますか?」と、講義対象の学生を意識したテーマで学生との議論を展開したりもしています。
全体の印象をひとことで言うなら「池上学概論」といったところでしょうか。さまざまな分野での著書を持つ池上さんの、入門編的な本が本書の特徴であると思います。
相変わらずの分かりやすさですし、いろんな分野で池上節を読みたい方は手に取ってみてはいかがでしょうか。
池上さんは自分の言うことを批判的に受け止めろと伝える
文科系と理科系の間にある断層が今後の日本の問題になるのではないか
領土の問題を各国の地図を見ながら解説
北方領土問題に関する中国の姿勢を語るキーワードは「敵の敵は味方」
ジャーナリストとしての、ものの見方はとても参考になるはず