『トリコ』だけじゃなかった! 島袋光年が描く“オッサン小学生”によるギャグ&モラル&バトルマンガ

2012/12/20

世紀末リーダー伝たけし! ワイド判 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 集英社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:島袋光年 価格:500円

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かつて『週刊少年ジャンプ』で少年たちを魅了した、いろんな意味で伝説のギャグマンガが、ついに電子書籍になりました! 現在は同誌で超人気漫画『トリコ』を連載中のマンガ家の初連載マンガです。私は小学生のころから下ネタが多めのものは苦手なのですが、本作だけは特別でした。それは下ネタのみではなく、笑いあり、涙あり、(超本格的な)バトルあり、しかもこれらが上手くマッチしているというハイセンスマンガだからです。

ギャグマンガにも関わらず少年達を魅了したのは、一見ただのギャグ要員でしかない主人公・たけしが理由でしょう。生後2日で二足歩行、その翌日には「開脚前転」までマスターしてしまう神童、しかし乳児の頃から(助産士曰く)「顔面がセクハラ」と言わせるアンバランスな顔。そして性格はというと、基本的に天然だが誠実で率直で、友達は決して裏切らない、正義の味方なのです。

本作の素晴しさは、ギャグと道徳が上手く両立されているところです。たけし(小学1年生)の顔面はさることながら、彼の魅力はモチロン顔ではなく、その心にあります。転校して知り合ったばかりのクラスメイトが5年生の先輩(どう見ても世紀末覇者)に苛められていると知り激怒する正義の心。そして友達が我慢しきれずにうんこを漏らした時、注目を自分に集めるために自分もウンコを漏らす優しい心(笑)

20歳を越えて読み直して、思うことは小学生の頃以上にあって、不覚にも泣いてしまいました。特に心に残ったシーンは、肌が白い・小便小僧・トマト嫌いという理由でクラスでからかわれている友達に対するたけしの台詞です。
「“人に嫌われたい”なんて思ってるやつなんかひとりもいないさ 誰だってそうだ……。エージは嫌われたくて色が白いんじゃない… 生まれつき白いんだ。いいじゃないか別に……。全然なんにも気にすることないさ! そんなくだらんことをバカにするヤツがいたらオレがゆるさん! オレはエージの味方だ!!」

友達の悩みを全て肯定する人情深い長台詞のあとに、たけしはこう続けます。
「でもなエージ…。“トマト”だって別にエージに嫌われたくてあんな味になったんじゃないぞ。生まれつきあの味なんだ。生まれつき」
優しく肯定するだけではなく、相手を成長させる言葉選び。友達は、見事トマトを食べられるようになります。

本作は巻数を重ねるごとに、小学校というフィールドを飛び出し、本格的なバトル色が濃くなります。時には山の中、時には孤島、そしてたけしの身体の中や魔界などで敵と戦う…のですが、ギャグマンガとしてしっかりと笑いも充実しています!


車に轢かれそうになった友達を助けるため、恐ろしい形相で飛び出すたけし少年(小学1年生)

友達の“優しい心”をもてあそび、苛めた世紀末覇者(5年生)に対して怒る、たけしの中の正義

ウンコを漏らした友達をかばうために、自らウンコを漏らすたけしの優しさ

もう一度だけ念を押しておきますが、たけしは小学1年生です。こんなムキムキでもです

たけしのライバル・ボンチュー(イケメン!)。1巻ではあまり出番はありませんが、全巻を通してかなり重要なキャラクターです。彼の話がまた泣けるんですよ!

バトルシーンはかなり本格的! 普段のギャグパートが嘘みたいに真剣に読み込んでしまいます!
(C)島袋光年/集英社