超能力開発からダッチワイフの人形師まで アブナイ仕事の実態がわかって目からウロコ!

更新日:2011/10/26

危ないお仕事! (新潮文庫)

ハード : 発売元 : 新潮社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:Amazon.co.jp/楽天ブックス
著者名:北尾 トロ 価格:514円

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危険な仕事の話じゃない。
清く正しい社会の裏で隠花植物のように咲き誇るアブナイお仕事のあっけらかんと明るいルポルタージュだ。世間で知られていないお仕事やちょっと怪しげな業界の実態が、北尾トロ独得のゆるいサブカル・オタッキーな文体で描かれている。

第一章「捜査のお仕事」は万引きバスター、私立探偵、警察マニア。第二章「アタマのお仕事」は、超能力開発セミナー講師、タイの日本人カモリ屋、月収100万円のメルマガ・ライターなど。

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ライターの私はこのメルマガライター、るう氏の話に深くうなだれた。ガックリではなく、ある種の敬意を表して、である。るう氏が発行する、つまり自分で書くメルマガは軽く100以上。収入は広告のクリックによって得るという普通の手だが、成功の秘訣は人気を作るのではなく、種類の多さに徹したことにある。

「読み応えのあるものにしたい、自分のファンを作りたいなどという欲は、稼ぐためにはジャマなこと」とキッパリ。没個性、あっさり短めがいいそうだ。夢のノウハウ大公開と銘打ってあるが、その労力と怜悧な判断たるや、とてもマネできるものではない。

しかし、この本の圧巻は第三章「エロスのお仕事」にあり。淑女の皆様には顰蹙を買いそうだけど、ダッチワイフ製造業者の職人魂や、AV汁男優の屈折心理がとんでもなくおもしろい! 特にダッチワイフ製造業者のくだりはイケます。

真面目な機会屋だったオジサンが、特殊なスポンジ素材を見つけて裏人形師に転身。この方、実に研究熱心で理路整然、かつ優れたビジネス魂の持ち主だけに、それがダッチワイフだというのに笑えます。

俗っぽい好奇心にかられて、サクサク読めてしまうので、iPhoneの暇つぶし読書にもってこいの一冊だ。