人気ブログ「早寝早起き玄米生活」とともに綴る一家の物語

公開日:2013/1/5

はなちゃんのみそ汁

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 文藝春秋
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:安武信吾 価格:1,028円

※最新の価格はストアでご確認ください。

はなちゃんが天国にいるママにあてた手紙から始まる物語。小学生3年生のはなちゃんのまだ幼い字で綴られる内容に初めは少し戸惑った。「おべんとうが全部作れるようなった」から始まり「最近の得意料理は…」と続いている。まだ小さい女の子が台所に立って毎日料理をする姿を思い浮かべて、なぜこんなにもしっかりものなのだろうと驚きを隠せなかった――。

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このはなちゃんの生きる力は33歳で亡くなった母・千恵さんが遺してくれたもの。「食べることは生きるとこ。ひとりでも生きられる力を身につけて」と、千恵さんとの約束を体で覚えていたはなちゃん。20代で乳がんが発覚、結婚、そして命がけの出産を経て肺がんに移転という残酷な運命のなか、千恵さんが綴った人気ブログ「早寝早起き玄米生活~がんとムスメと、時々、旦那~」。そのブログとともに、夫の信吾さんが千恵さんとの闘病生活やはなちゃんと2人家族になった現在までを描いている。

沢山のがん治療の本を読み、講演に足を運んでは生活に取り入れていく、がんを絶対に治すという信念を持ち続けた千恵さんと夫の信吾さん。二人三脚でがんと必死で闘い、支えあう夫婦の姿は強く心を打った。「自分がいなくても子供がひとりで生きていけるように」と母親として娘に生きる力を遺そうとした千恵さん。その思いをしっかりと受け取り生きていくはなちゃん。母が子を強く想う心に、そして子が母との約束を守り生きていく姿に、ただただ涙した。そして、闘病生活の最中に出会う人々の知恵と深い言葉と支えに、人と人とのつながりの温かさを感じた。

一方で、現代の「食」や「医療」を自分なりに問題意識を持って考えるきっかけになったのは間違いない。薬にばかり頼るのではなく、規則正しい生活や食事をして自然治癒力を高めることがどれほど重要なのか。日本の「食」を取り巻く環境が揺らいでいるという現実を知り、無添加で栄養のある食事や食育の大切さを痛感した。正しい「食」と「生き方」を教えてくれたこの本に出会えてよかったと思っている。「食べることは生きること」、その通りだと心からうなずいた言葉。大切な人の命のために伝えたい、そしてより多くの人に届いて欲しいと思う。


命がけで出産を決めた千恵さん。娘について綴るブログは涙なしでは読めませんでした

玄米とみそ汁が基本の食事療法や早寝早起きの生活。自分の生活に取り入れたいと思うことがたくさんありました

節約といえば食費を削る。添加物の入ったもの、レトルト食品に頼る食事。そうではなく、食にこそお金をかけ、栄養のあるものを口にする。その大切さを痛感しました

玄米の炊き方やごま塩の作り方も紹介されています