結婚していてもいなくても、さみしい瞬間はある。そんなすべての“おひとり様”の物語

コミック

2013/1/6

おひとり様物語(1)

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:BookLive!
著者名:谷川史子 価格:432円

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人間、死ぬ時はひとりなのよ。というのが、幼きころからわが母の教えでありました。当時は小学生相手になんてシビアなことを言う母だ、と思いましたが、三十路手前の今、つくづく感じます。人間、誰もがひとりなのだと。結婚していようが彼氏なしだろうが、人はすべからく“おひとり様”の部分をもっている。そんな隙間をつついてくるのが、この『おひとり様物語』です。

おひとり様物語、なんて聞くと「彼氏のできない独身女性のさみしさを描いたなんだかちょっと痛いお話なんじゃないか」と思う人もいるかもしれません。

1巻第1話登場の、山波久里子さん。28歳、独身、ひとり暮らしでながらく彼氏もいない、でも仕事はそれなりに充実していて、読みたい本を読み、夜にはお酒をちょっと飲んでお風呂につかってのんびり幸せ。定食屋さんにだってひとりで入れちゃう。おそらく一般的に想像される“おひとり様”像のテンプレは彼女でしょう。充実しているはずなのに、ときどき無性にさみしくなってむなしくなる夜もある。そんな描写に「あるある!」と前のめりになるのはたしかに、わたしが、彼女と同じくおひとり様女だからでしょう。

だがしかし。それだけじゃないのです。本作品には、彼氏と遠距離恋愛中だったり、お互い多忙につきすれ違い同棲中だったり主婦だったり、もちろん男性だって登場します(1巻は女性ばかりですが)。

大好きな人がいたって、寄りそう相手がいたって、いや、いるからこそ心がひとりぼっちになる瞬間はある。だって自分の人生は、自分にしか生きられないから。全部をわかちあうことも、すべての時間を誰かと共有することもできないから。毎分毎秒さみしいわけじゃない。ひとりがつらいわけじゃない。でも、ちょっといやなことがあったときに、いつも大丈夫なことが耐えられなくなる。最悪だってわかりつつ彼氏の携帯をのぞいちゃったり、自分ばっかり不幸なつもりで友達に甘えすぎちゃったり、好きでもない相手と一緒にいてしまったり。自分と同じ状況なわけじゃない、でもわかる。そんな感情がちりばめられているのです。

だから、独り身じゃない人にもぜひ読んでみてほしい。
大人になるって、“ひとり”と折り合いをつけていくことで、大丈夫になることってけっこうさみしくなんかないんだぜ。っていうか、おひとり様=さみしい、じゃなくて、さみしいときも大丈夫なときもあるのがふつうだよね、っていう寄りそい方をしてくれる、とっても優しいコミックなんです。


「さみしくない? それ」ってたぶん、年齢重ねたおひとり様女子は誰もが一度は言われたことある台詞…

いや別に、って思いつつ、そんな言葉に揺れてしまう自分がいるのもまた事実

ひとりで立てなきゃ、2人になってもたぶん、さみしいままなんですよねー(遠い目)

携帯をのぞこうとする彼女の描き方はもう秀逸

つがいになりたい女子! でも誰でもいいわけじゃない、ジレンマを描いた彼女の話もよかった

一番心を打たれたのは、マンガ家の彼女のこのシーン
(C)谷川史子/講談社