ピンチをチャンスに、不運を味方に、挫折を飛躍に変える手がかりが見つかる

更新日:2013/1/10

30代の「飛躍力」 ― 成功者たちは逆境でどう行動したか

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : PHP研究所
ジャンル:教養・人文・歴史 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:竹内一正 価格:749円

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米山稔、松下幸之助、チェスター・カールソン、本田宗一郎、小林一三、渋沢栄一、盛田昭夫、スティーブ・ジョブズ。本書に登場する成功者たちだ。活躍した時代、国、業界も異なるこの8人に共通していること。それは、過ごし方次第で人生、仕事の未来を決めるともいわれる30代に、大きな困難や大事に直面していることだ。

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最初に登場する米山稔(ヨネックス創業者)は、仕事が軌道に乗ってきた30代半ばに取引先が倒産、さらに38歳のとき自社工場が全焼する。松下幸之助(松下電器産業・現パナソニック創業者)は35歳のとき昭和恐慌(1929年、昭和4年)に襲われ、リストラか倒産かの岐路に立たされる。盛田昭夫(ソニー創業者の一人)は34歳のとき、トランジスタラジオ10万台という大口注文を断る。スティーブ・ジョブズ(アップル創業者)は30歳のとき、自らつくった会社を追われ、以降苦難の30代を送ることになる。

「三〇代でピンチとチャンスに出くわし、そこで成功への軌跡を築いたビジネス界の偉人たちの奮戦ぶりを紹介しながら、私たちが学び実践すべき珠玉のエッセンスを抽出していきたい」(「はじめに」から)。本書は単なる読み切り成功物語でも、困難比べや大事の競い合いでもない。成功者たちはそれぞれの30代に直面した困難や大事に、どう向き合い、どう行動したのか。また彼らを支えた考え方や志とはなにか。それらをみんなまとめた意味での「飛躍力」が本書のテーマだ。

一人一章。各章は、本文をはさんで、冒頭部分に章の要約が、終わりに「三〇代に効く! この章のまとめ」がおかれている。要約にはその人物を取り上げた意図が簡潔に述べられ、読み進む道筋が見えて読者にとても親切だし、章のまとめではポイントが整理され、これは30代ばかりか多くの世代にも効く。卒読後、ここを再読すれば効き目倍増! エピソード豊富な本文と合わせ、困難や大事への対応だけではなく、とくに30代なら今年はこれだ! という手がかりが見つかるかもしれない。

「商売や生産は、その商店や製作所を繁栄せしめるにあらずして、その働き、活動によって社会を富ましめるところにその目的がある」。これは、昭和恐慌をリストラもせず倒産の危機も乗り超えた松下幸之助のメッセージだ(第2章より)。30代の困難を飛躍へと変えた成功者たちの知恵は、時代を超えて生きている。


目次

各章のはじめには、その人物を取り上げた意図を記した要約が(第1章から)

章の終わりには「三〇代に効く!この章のまとめ」がおかれている。再読すれば効き目倍増!(第7章から)

本文は簡明で、気持ちよく読める。このページは、スティーブ・ジョブズは苦境にあってなぜ事業をやめなかったのか、その理由を記している部分(第8章から)