「猫」が織り成す、笑いあり涙ありどたばたありの江戸の猫情物語

公開日:2013/1/10

猫絵十兵衛 〜御伽草紙〜 1

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 少年画報社
ジャンル:コミック 購入元:電子貸本Renta!
著者名:永尾まる 価格:105円

※最新の価格はストアでご確認ください。

月刊のペースで発行され、コンビニに行くとたまに書棚でみかける『ねこぱんち』。これは猫好き女性の癒しの宝庫、猫まみれの漫画雑誌で、私もコンビニで見かけるとついつい手が伸びてしまいます。
『猫絵十兵衛御伽草紙』は『ねこぱんち』の中で連載している、猫を絡めた江戸の人情物語。くすりと笑える話からほろりとくる話まで幅広く揃えており、『ねこぱんち』の中でも異質なおもしろさのある作品のひとつだと、胸を張ってオススメできます。

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本作の主人公はひとりと1匹。鼠除けの猫絵を描いて生業にしている十兵衛と、彼の相棒である猫股のニタ。終始でずっぱりのニタはよりにもよってすこし不細工な猫だったりと、猫エッセイ漫画が中心の『ねこぱんち』内の作品中で本作は独特の味を持っています。猫好き以外にも漫画が好きな人なら楽しめること間違いなし!
さて、設定や雰囲気も一押しの作品ですが、私は本作の見所に2人が出会う「猫達の豊かな個性」をぜひとも推したい。

では簡単に、話ごとに出てくる猫の個性を紹介します。
第1話/手白(てしろ)は、忠義な老い猫。目を患った老主人のために雪の日もお宮参りを欠かさない
第2話/玉吉は早く猫股になりたいと夜な夜な秘密の特訓をする努力の猫。鼠を取ろうとして壷や池にはまったり、秘密の特訓を主人に見られて心配されているなんて気づきもしないうっかり者
第3話/野良の白猫はけなげな猫。邪険に扱う女性をひたすら慕う
第4話/三多郎は珍しい「雄」の三毛猫。主人である花魁(おいらん)から片時も離れない
第5話/トラ助は無邪気な子猫。夢の中で魘される侍を助けようと奮闘する熱さも持つ
第6話/ヤロは片足に障害がある猫。子猫の時に荷車で引かれて負った傷で、それ以来人間が怖くて仕方ない

猫に始まり猫に終わる。猫の出演総コマ数454コマ(表紙含む)の、まさに猫尽くしの1冊。人情風味が強く動物ものが好きな人が楽しめる作品となっております。興味がわいた方はぜひ、本作でしかお目にかかれない猫キャラたちにメロメロにされてください。


まげも結わずに江戸の町を歩き、猫(ニタ)を入れた道具箱を担ぐかぶきもの十兵衛

第1話より。お宮参りをして主人の快癒を願う手白

第2話より。早く猫股になって変化の術を覚えたい玉吉とそれを見てしまう主人の少年。玉吉が猫股になると2度と戻ってこないのでは、と心配するようになるのです

第4話より。花魁に向かって凄い形相で飛び掛る三多郎。その理由はなんと…

第5話より。侍の夢でトラウマの元凶となった化け猫に精一杯威嚇するトラ助が可愛い