自己啓発本の始祖にして頂点のようで、近くに置いておきたい本

更新日:2013/1/23

「原因」と「結果」の法則

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : サンマーク出版
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:ジェームズ・アレン 価格:972円

※最新の価格はストアでご確認ください。

この作品は日本だけで55.5万部発行され(「サンマーク出版歴代部数ベスト10」より)、デール・カーネギーさえもが参考にしたと言われる、自己啓発の元ネタのような本だ。私ごときが批評する資格もないのだけれど、電子書籍で繰り返し読むには最適と思われるので、紹介したいと思う。

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『「原因」と「結果」の法則』には、私たちの思考がどれほど生活に影響するかごく簡単な言葉で著されている。ページ数は電子書籍版でたったの171ページ。

著者はこのように語る―—「私たちは、自分自身が選び、めぐらしている思いによって、自分の人生を創り上げています。」また「心は、それ自身が密かに抱いているものを引き寄せます。」と。これはまったくその通りだと思う。現在では脳には指向性があることはよく知られていて、イメージトレーニングによってスポーツ選手が試合で結果を出したなどというエピソードは珍しい話ではなくなっている。

しかし、イメトレだけでは本当の幸福に達するのには不充分だ。著者はごくシンプルな言葉で告げる。「良い思いや行いはけっして悪い結果を発生させませんし、悪い思いや行いはけっして良い結果を発生させません。」つまり、私たちの人格は環境に創られるのではなく、私たちに環境を変える力がある。

著者ジェームズ・アレンは19世紀のイギリス人だが、労働者階級から独学で哲学や仏教を勉強したと言われている(wikipedia日本語版では父親が事業を営んでいたことになっているが、英語版では労働者階級出身で母親は読み書きができなかったと書かれている)。それが彼が環境のせいにして犯罪に走る者に容赦ない理由なのかもしれない。もちろん現在の状況は、もっと複雑になっているし、本人が関与しないところで極度な貧困に陥っている例もあるが、アレンの言葉は真実と受け止める必要があるだろう。その言葉は、あまりに的を得ていて、「目からウロコ」や「ハラハラドキドキ」とも違う。しかし、私たちみんな、たまにはこの本に書かれていることに立ち返る必要があるのではないだろうか。


テーラワーダ仏教の「カルマの法則」によく似た考え方だ。たとえば嫉妬は嫌悪のエネルギーだから、嫉妬の対象になったものは永遠に手に入れることができない

この教えはヨガに似ている。本来のヨガではポーズで身体を整える以前に五戒を守り、心のバランスを整えることを教えられる

戦争の世紀といわれた20世紀初頭に、このように先進的に感情の問題に気づいていた人がいたことは感慨深い。トルストイの著作を読んだことがアレンの執筆のきっかけだったという