恋愛女王の異名を持つ有川浩による、自衛隊×恋愛のオムニバス!

小説・エッセイ

2013/1/15

クジラの彼

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:有川浩 価格:567円

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有川浩さんといえば、数々の大ヒット作を生み出してきた今をときめく作家です。日常の中での人間模様が豊富に描かれているものが多いのですが、彼女が本領を発揮するのは自衛隊モノなのです。そして、なんといっても誰もを魅了するストーリー構成と、読書慣れしていない人にも読みやすくまとめる親切な文章。そんな彼女だからこそ、一般人が敬遠しがちな自衛隊に、誰もが親しみのある〈イマドキ恋愛〉を織り交ぜてヒット作に繋げられるのでしょう。

本作では、知的興味心が大いに刺激される自衛隊の日常が事細かに、そして私たちにとっても身近な恋愛要素を甘く、そして赤裸々に描かれているのが最大の魅力! ミリタリー小説は大量にあっても、自衛隊×恋愛を中心にしたオムニバス小説なんて他にはありません。恋愛女王の異名も伊達ではなく、要所にちりばめられる甘さにキュンキュンすることウケアイです!

今、最も書店を賑せている女性作家である有川さんは、どんな日常でも最高のエンターテインメントに仕上げるストーリーテラーです。ミリタリーが苦手。自衛隊に興味がない。そんな方にこそ読んで欲しい本作。キュンキュンすると共に自衛隊に対する認識を少しでも広げて欲しいです。

オムニバスの中で特にインパクトが強かったのは、なんと言っても【ロールアウト】。若い男女の恋愛が、なんと「船内のトイレをどう設計していくか」による話し合いの中で発展していくのですから! というのも空自が使用するトイレは簡易トイレをカーテンで仕切っただけの粗末なもので、プライバシーのへったくれもないのです。だから高科はトイレに壁を作って欲しいと設計士である絵里に頼むのですが、設計側としてはカーテンの方がいろいろ都合がよろしいのです。それを聞いた高科は、なんと、絵里をトイレに押し込み、カーテンの外から「あんた、今そこでパンツ下ろせるか」と詰め寄るのです! もちろん女性として、そんなことはできませんよね。高科に「こういう便所を(過去に)作ったあんたたちがこの便所を使えないのは嘘だろう」と言われ、ようやく絵里は自分の顧客意識を認識していきます。はたして2人は、そしてトイレはどうなるのでしょうか?

では最後に、各話の簡単なあらすじを。
【クジラの彼】表題作。ほとんど陸の上に居ない潜水艦乗りの彼氏を持つ辛さ。『海の底』のスピンオフ。
【ロールアウト】航空設計士の女性と空自の男性による、船内のトイレ設計を巡る恋物語。
【国防レンアイ】恋人に振られるたびに自分に愚痴を話す、同僚の女性陸上自衛官。たびたび想い人が自分にだけ見せる弱みに付け入るべきか入らざるべきか。
【有能な彼女】『海の底』の主人公2人による、その後の話。ファン待望のスピンオフ。
【脱柵エレジー】遠距離恋愛中の彼女のために、陸自の若造が駐屯地脱走を試みる!
【ファイターパイロットの君】『空の中』の大人主人公2人の結婚後の話。こちらもファン必読です!


【クジラの彼】「――潜水艦乗りの彼女は辛い。」遠距離恋愛の辛さは、なんとなく共感できるものがあるんじゃないでしょうか

【ロールアウト】「トイレトイレトイレ、そんなにトイレが一大事か。」話全体に入るトイレの連呼。ここからどうやって恋愛につなげようと思ったのかが不思議でたまりません

【国防レンアイ】「ぶっちゃけ穴さえ開いてりゃ女神である。」あけすけな文章に思わずふき出します