高校3年間避けられ続けた主人公が、3年前に“アゲイン”して青春をやり直す！

映画化もされた『モテキ』で一躍人気となった久保ミツロウさんの新作です。『モテキ』は「青春時代を過ぎた後の青春」であり、本作は「青春をやり直す」ストーリー。両作とも、ろくな青春を送ってこなかった男が主人公になっています。

金髪ロン毛という特異な風貌で、高校3年間、学校中に避けられて過ごした今村。卒業式、偶然通りかかった女生徒と共に階段から落ちてしまいます。目を覚ませばそこは自宅で、自分は1年生のころの姿に戻っていて…。3年前の入学式の朝にアゲイン（タイムスリップ）してしまったのです。半信半疑で参加した入学式の壇上に上がったのは、3年前と同じく壇上で校歌を熱唱する応援団長・宇佐美。団員は宇佐美たったひとりで、アゲイン前の世界では、何やらいろんな問題が重なったようで、応援団は彼女の代で潰れてしまっていました。

今村が居ても居なくても意味のなかったアゲイン前の世界。しかし、アゲインした世界で自分が応援団に入れば、世界は変わる。せっかく3年前に来たのだから同じ毎日じゃつまらない。何か変えてみたい。そう考えた今村は、廊下で、大勢の応援団員たちが写っている写真を発見します。一目ぼれをした相手でもあった宇佐美が応援する姿をもっと見たい。そう思った今村は、「もう一度 大勢いる応援団にしよう」と、入団します。

見所は、高校生2回目である今村の、アゲインならではの特殊な言動です。先生の性格を把握しているので軽くあしらったり、授業中にボケっとしていて出された難問をさっと解いたり…。何よりもおもしろかったのは、チア部キャプテンにハニートラップを仕掛けられて「俺がボーっとして気付かない間に 面白ぇーこと起きてんじゃん」「三年間みんなから無視され続けてきたこの俺を舐めんな！！　どんな扱い受けよーがもう全部慣れてんだよボケ！！」という今村の魂の叫び（笑）それがたとえ普通ならば遠慮願いたい悪意であっても、何かの事件に巻き込まれていることが、無視され続けてきた今村には楽しいのです。

ちなみに、いろいろあってアゲイン前とは違い数人の友達ができる今村ですが、共にアゲインした女生徒・アキは、友達と彼氏に恵まれ青春を謳歌したアゲイン前とは逆に、（「このアイドルすぐ消えたよね」等の電波的な言動から）周囲に嫌われてしまいます。1巻ではあまりピックアップされていませんでしたが、今村とは正反対のキャラクターの今後も楽しみです！

はたして、応援団はどうなるのでしょうか？