飛べないパイロットに与えられた新任務は「自衛隊ヲPRセヨ!」

小説・エッセイ

公開日:2013/1/27

空飛ぶ広報室

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 幻冬舎
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:有川浩 価格:1,382円

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みなさん、お早うございますコンニチハ今晩は。高所恐怖症の中國卓郎です。
さてさて「空飛ぶ」と言っても別に広報室が建物から切り離され飛んで行くとかってんじゃございません! それ即ち、不慮の事故で航空自衛隊のパイロット資格を剥奪された主人公の事であります。ブルーインパルスに憧れていた空井(29歳独身)の現在の勤務先は航空幕僚監部広報室…要するに航空自衛隊の新米広報なのです。そしてTV局から自衛隊の長期取材にやって来たディレクター稲葉リカ。本書はこの2人の成長物語な雰囲気を漂わせながら始まります。

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しかし2人を主軸にしつつ個性豊かな広報室の面々も濃厚に描かれていて「やっぱこの手のシゴト成長物語はオモシレーなぁ」などと読んでるコッチもそりゃノリノリです。更にそこに自衛隊と言う特殊な職場環境が興味深さに拍車をかけて来るもんでページをめくる…イヤ正確にはスマホをフリックする親指が止まらず、時々ハッと我に返っては残りページ数を確認し「もうすぐ読み終わっちまうよ…」と寂しがってました。そして最終章“空飛ぶ広報室”を読み終え「あ~おもしろかった!」と満足した僕のスマホに表示される『あの日の松島』の一文。ここまで800回以上繰り返してきた動作=親指をスライドさせ読み続けました。

全てを読み終えた後、途中「おもしろかった」と思っていたこの作品が「もうとにかく大好きな1冊」へと変わりました。あとがきにて作者の有川さん御自身が「本当ならこの本は2011年の夏に出る予定でした」と述べられています。しかし実際に刊行されたのは、震災後の2012年の夏です。「それは何故か?」僕の文章力ではとても書けませんが…ともかくその際に『あの日の松島』は書き下ろされました。本書はいわゆる「自衛隊三部作」を始め自衛隊に造詣の深い有川さんだからこそ書けた、そしてそんな自分だからこそ書かなければと言う強い信念のもとに生み出された作品なのだと思います。ぜひ一人でも多くの方に読んで戴きたい! そう強く思う次第です。


駐屯地=基地で陸上自衛隊にしか適用しない…イヤハヤ知りませんでした

空自広報室員同士の会話。ホントその通りだと思います!