超常現象の正体に迫る科学的検証と騙しの手口
更新日:2013/2/12
幽霊、UFO、超能力、いわゆるチョージョー現象は科学で説明できないから存在しない。目に見えないものはすべてあり得ないと科学者は主張する。だがそれは傲慢な態度以外のなにものでもない。チョージョー肯定派の人はそう否定派を批難する。当てはずれの言い分である。クォーク、ブラックマター、恐竜の絶滅理由、科学に命をかけた人は今日も目に見えないものの研究をたゆまず突き詰めている。
科学というものの考え方はこうだ。「目に見えてしまったものはいったいなにか」
それではなぜ科学者は幽霊を研究しないか。再現性がないからである。もし中島みゆきを聴きながらジャガイモを囓ったら必ず幽霊が現れるとしたら、科学者たちは幽霊の正体を日の目も見ずにきわめ始めるだろう。
本書は、あらゆるチョージョー現象は、錯覚か、演者による誘導であるとする。そうして、その検証と騙しの手口を細かく具体的に書き表していく。
たとえば表紙カバーを使った「誰にも見える幽霊」をご覧いただきたい。じっと見つめていると、あり得ない人影が見えてくる。どこでも誰でもいつでも見えてくるから、これは錯視、つまり目が勘違いして映像を認識してしまう現象だと結論づける。面白いではないか。
人の脳がどれほど見たいと思うものを見てしまうか、どれほど「まやかし」をみずから作り出してしまうか。脳がなぜ摩訶不思議な現象を体験してしまうか。それがこの本のテーマなんである。
たとえば幽霊について、著者は「倉庫街に幽霊が出る」という噂を故意に流した。すると、その場所での幽霊目撃者が次々と現れたという。また超能力犬の調査では、主人の帰宅時間を予知してドアの前で待っているというこの犬は、実に幾度もドアの前を行ったり来たりするということが判明する。
私は、チョージョー現象が大好きだ。UFOを見たいと思うし、心霊写真いっぺん撮ってみたい、誰もいないのにドアが開く音や足音を聞いたことさえある。それはそれはでエンターテインメントとして楽しい。
ただ、自分というものをあまり信用していないのだ。ほんとに人間の知覚システムというのはテキトーにできてる。ああ、チョージョー現象、私はお前に憧れる。
本のカバー 丸い穴をじっと見つめていると幻が現れる
目次の一部 興味深いテーマがずらっと
超能力犬はほんとうにいるのか
予知というもののメカニズムをしんぷるにぶんかいすれば
占い師Dの真実