度を超えた悲しい姿は、涙とともに笑いを誘う
公開日:2013/2/9
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 〈1〉
ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader | 発売元 : スクウェア・エニックス |
ジャンル:コミック | 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy |
著者名:谷川ニコ | 価格:514円 |
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役割語ってご存じですか? まあ簡単にいうと、お嬢様言葉とかああいうやつです。「~ですの。おほほほほ」みたいな感じでしょうか。実際にはそんなしゃべり方する人はいないのだけど、小説やコミックで使うとキャラクターの補強になるような言葉遣いですね。
そして、ここから先は個人的な見解なのですが。役割語という言い回しがあるのと同じで、キャラクターにはあらかじめ与えられた語彙というものがあるのだと思うんですよ。裏を返すと、これはいってはいけないセリフというものが存在する。
『私がモテないのは~』の主人公、黒木智子は徹頭徹尾これを無視するのです。冒頭の中学時代の回想では、パソコンで「喪女」の意味を検索して「要するに男にモテないブスのことか」などとビッチサイドな発言をしたかと思えば、逆に昼休みにひとり小説を読みながら「あんなバカ女と一緒にいる男なんてどうせクズしかいないし」などと遊んでいる子を批判したりする。さらに、基本男言葉です。「悔しくねーし」などとおっきなフォントで言い切るのです。でも、ヒロインなんですよ。悲しいヒロインです。
モテモテなはずの女子高生になったのに、第1話からして「おかしいな、女子高生だが2ヶ月近く高校生と会話してないぞ?」とくるのですよ。その後も脳内では暴走し、実際には教員に挨拶することにもストレスを感じるような状況が続きます。イメチェンをしてみたり、中学時代の友達と会ってみたりと行動は起こしているのですが、どれも空回りに終わるんです。その姿が悲しみを通り越して笑いを誘います。
男女問わず、「喪」な人だったら笑いすぎて泣くことはなくても、悲しすぎて涙と笑いが止まらない状態になると思いますよ。
このコミックのテーマでもある、「喪女」とは?
すでにこの時点で勘違いは始まっている…
いろいろ試すものの、自分の姿に吐き気を覚える始末
リアルでは下校の挨拶もままならない
リア充の弟には卑屈になり、なぜか敬語を使い出す